症状
腹痛や胃もたれなどの胃の不快感が長期間にわたり、繰り返し起こる
慢性胃炎の主な症状は以下のとおりです。
● 食後の腹痛
● 胃もたれなどの胃の不快感
● 食欲不振
● 吐き気 など
慢性胃炎は、胃炎の状態が長期間にわたり繰り返し起こることで、胃粘膜に変化が見られます。
胃粘膜の状態によって次の4つに分類することができます。
1) 表層性胃炎…胃粘膜表面に軽い炎症がある状態
2) びらん性胃炎...炎症が進んで胃粘膜がえぐられた「びらん」が見られる状態
3) 萎縮性胃炎…胃粘膜自体が萎縮してしまい薄くなっている状態
4) 肥厚性胃炎…胃粘膜表面が厚く見えるような状態
また、胸やけや吐き気などの胃の不快感がつづくにも関わらず、上記のように胃粘膜に異常が認められない場合もあります。
以前は慢性胃炎の1つとして認識されていましたが、近年、「機能性ディスペシア」という1つの疾患として考えられるようになってきました。機能性ディスペシアは精神的なストレスなどが原因といわれています。
原因
ほとんどはヘリコバクター・ピロリ菌の感染が原因
慢性胃炎の原因は、ほとんどの場合、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染です。
また、ストレスなどの精神的な要因も影響している場合があります。
診断と治療
慢性胃炎の診断
慢性胃炎は、胃潰瘍や胃がんなど他の病気と区別することが大切です。
また、治療のためにピロリ菌に感染しているかどうかの確認も必要になってきます。
一般的に胃粘膜の状態を確認するための内視鏡検査とピロリ菌検査が行われます。
ピロリ菌検査は、採血か採尿による抗体検査、吐き出した呼気の尿素量を調べる尿素呼気試験、便中に菌がいるかどうかを調べる抗原検査、内視鏡で胃粘膜を採取して調べる検査のいずれかの方法で行われます。
慢性胃炎の治療
慢性胃炎の治療は、症状をやわらげるための薬の服用が基本です。
ピロリ菌に感染している場合には、ピロリ菌の除菌も行います。除菌は経口薬で行われます。
慢性胃炎は完治が難しい病気です。薬に服用で一時的に症状が治まっても、服用をやめると再発することがあります。
自覚症状がなくなっても自己判断で服用を中止せず、医師の指示に従ってください。
薬での治療と同様、生活習慣の見直しも重要です。
食生活では香辛料など刺激のあるものは避けるようにしましょう。またストレスが症状悪化の要因になっているケースもあるため、十分な休養をとったり、適度な運動や趣味でリフレッシュしたり、精神的なケアも大切です。
予防
バランスの良い食生活と十分な休養を
慢性胃炎の予防には以下の生活習慣を心がけるようにしてください。
● 暴飲暴食を避ける
● 香辛料など刺激の多い食品を摂りすぎない
● 十分に睡眠をとる
● ストレスをためないようにする
医療機関受診のポイント
胃の不快感がつづく場合は医療機関を受診しましょう
診察室で医師に伝えること
● タバコ、アルコールなどの嗜好品の有無
● 仕事など、日常生活でのストレスを抱えていないか
● 消化器疾患の家族歴
● 食生活について(刺激物を好んで食べているか)
● ピロリ菌の感染歴の有無(わかれば)、あれば除菌の有無も
受診すべき診療科目
● 内科
● 消化器科
内視鏡検査などが必要になるため、基本的には消化器科を受診しましょう。