症状
身体を起こしたときの腰痛が特徴的
脊椎圧迫骨折の症状は、背中の症状と足の症状に分けることができます。
脊椎がつぶれた場所によって症状が出る部位は異なります。
1) 腰・背中の症状
腰や背中の主な症状は身体を動かしたときの腰痛です。
寝ている状態から体を起こしたとき、体をひねったときに腰に痛みが起こるのが特徴す。
歩いているときには痛みをあまり感じないのですが、走ったり飛び跳ねたりすると痛みが生じます。
2) 足の症状
脊椎が潰れてしまったまま長い間放置していると、足腰の周りの神経を傷つけてしまうことがあります。
この場合には、足のしびれ、痛みなどが現れ、歩行にも支障をきたすようになります。
また、運動神経への影響により以下のような症状がでることがあります。
● 動きが鈍くなる
● 歩行時にふらつく
● 力が入らなくなる
原因
主な原因は骨粗しょう症と過体重
脊椎圧迫骨折の主な原因は骨粗しょう症と過体重です。
● 骨粗しょう症
骨粗しょう症では、骨全体がスカスカな状態になっているため、体重の増加や過度な負荷が加わることで脊椎が潰れてしまいます。
● 過体重
体重の増加も脊椎に大きな負担をかけます。
背骨に体重が加わりすぎることで、脊椎に負担がかかり過ぎて脊椎が潰れてしまいます。
● 内分泌の異常
骨はホルモンによって厳密に調整されています。
甲状腺と副甲状腺という喉にある臓器からホルモンが分泌されていて、骨の内部のカルシウムの分泌が行われています。
甲状腺や副甲状腺に腫瘍が起こり、ホルモンが異常に作られてしまったり、逆に特定のホルモンだけが作られなくなってしまうことで、骨の内部からカルシウムが出て行ってしまうことがあります。このような内分泌の異常も、脊椎圧迫骨折に悪影響を与えるので注意が必要です。
高齢者に多い骨折ですが、高所からの落下などにより若い人にも起こりえます。
診断と治療
脊椎圧迫骨折の診断
症状などの情報に加えて、画像検査や血液検査をもとに診断します。
● 画像検査
画像検査では、CTやMRIなどの画像診断装置を使って診断を下します。
まず、レントゲン検査などで骨の状態を確認して、大まかな診断を下します。脊椎の圧迫骨折が疑われる場合は、MRIなどの診断装置で確定診断を下すという順番で検査を進めるのが一般的です。圧迫骨折を起こして潰れている脊椎の状態を確認することで確定診断を下します。
● 血液検査
血液検査では骨が溶けているかどうかの指標であるアルカリフォスファターゼの測定や、カルシウム濃度の測定を行います。
どちらの値も上昇傾向にあるようであれば、骨粗しょう症などの疾患を疑うことができます。
場合によっては骨密度の測定も併せて行うことがあります。
また、腫瘍マーカーなどをもとに悪性の腫瘍の有無も調べることができるので、ガンが骨に転移した場合などに備えて検査に加えることがあります。
脊椎圧迫骨折の治療
脊椎圧迫骨折の治療法は、薬物療法・保存療法・運動療法・外科的治療の4種類を行うことが一般的です。
1) 薬物療法
薬物療法では痛みの軽減のために鎮痛剤を用います。
炎症を抑えるための抗炎症剤は炎症を抑えながら痛みを同時に抑えることができるので、このような痛み止めをうまく活用して痛みのコントロールを行うのが一般的です。
2) 保存療法
保存療法はいわゆる安静にすることです。
基本的にベッドの上で安静にして、圧迫骨折を起こした部位に負担をかけないようにします。
コルセットを付けながら安静に生活するだけで痛みは徐々に回復するので、3ヶ月ほどでコルセットを外すことができます。
ただし、神経を圧迫している場合には足のしびれや痛みなどの症状が残り続けることがあります。
3) 運動療法
運動療法は足腰の筋肉をリハビリにより強化する治療法で、歩く訓練や立ち上がる訓練を行いながら治療を進めます。
4) 外科的治療
手術による治療です。背骨にボルトやネジを使って固定することで脊椎への圧迫を和らげます。
高齢の場合には手術が難しいこともあるので、年齢や体力に応じて手術を行うかどうか考えながら治療を進めます。
予防
適正体重を維持するようにしましょう。
体重を減少させるだけで脊椎に加わる負荷が減少するので、体重の維持に気をつけることが大切です。
高齢者の場合、歩行困難や寝たきりの原因になることもあるため、予防をしっかりと行うことが大切です。
医療機関受診のポイント
腰痛が急激にが悪化したとき、背中の痛みや腰痛が続く場合は、医療機関に相談しましょう。
診察室で医師に伝えること
医療機関を受診する際は、以下の点を医師に伝えましょう。
● いつから痛みが出てきたか
● どのような時に痛みが出てくるのか
受診すべき診療科目
● 整形外科