症状
乳幼児は重症化しやすく肺炎や急性脳炎の合併症に注意
RSウイルス感染症は、感染してから症状が出るまでに2〜8日程度かかります。
この潜伏期間を経た後、以下のような風邪とよく似た症状が見られるます。
● 発熱
● 鼻水
● 咳
● ゼーゼーという呼吸音 など
乳幼児でのRSウイルス感染は症状が重くなりやすく、細気管支炎や肺炎、急性脳炎などを合併する確率が高いといわれています。
6歳を過ぎる頃からは感染しても症状が軽くなっていくといわれています。
ただし、次のような条件に当てはまる方は、重症化のリスクが高くなるので注意しましょう。
● 生後数か月の乳児
● 低出生体重児
● 肺や心臓に先天性の障害または病気がある
● 高齢者
● RSウイルス感染症にかかっている子どもの保護者や患児に頻繁に接する医療従事者
原因
感染者が知らず知らずのうちにウイルスを拡散していることも
RSウイルス感染症は、RSウイルスが体内に入り、感染することが原因で発症します。
感染ルートには、飛沫感染と接触感染の2つがあります。
● 飛沫感染
ウイルスが含まれている唾液や鼻水が咳やくしゃみなどで飛散し、周りの人が呼吸するときにウイルスが体内に入ることで感染します。
● 接触感染
くしゃみや咳をするときに口を覆った手や、鼻をかんだときに鼻水に含まれるウイルスが手につき、その手で触ったものを他の人が触り、ウイルスで汚染された手で食事をしたりすることでウイルスが体内に入って感染が成立します。
この病気は、症状が軽いと風邪と勘違いしてしまうこともあるため、感染者が知らず知らずのうちにウイルスを拡散していることがあります。
診断と治療
RSウイルス感染症の診断
迅速診断キットでウイルスの感染有無を確認
RSウイルス感染症の診断は、まずウイルス検査を行ってRSウイルスが存在しているか確認します。
● ウイルス検査
ウイルス迅速診断キットを使う方法が一般的です。
この検査キットは、感染が疑われる人の鼻水や鼻の奥の粘膜を拭って得られた検体を試薬に混ぜ、それをキットに滴下します。約10分ほどで、ウイルスが存在しているかどうか反応が出るようになっています。
ウイルス迅速診断キットの検査でウイルスの存在を確認し、陽性であれば、他の症状などから必要に応じて血液検査やレントゲン検査も行います。
血液検査においては、感染者の血液を採取して、主に白血球やCRPなど、感染状態がわかる項目に注目します。また、レントゲン検査で肺や気管支などの状態を確認し、感染の重症度を判断していきます。
RSウイルス感染症の治療
抗ウイルス薬はなく、症状に応じた対症療法が基本
RSウイルス感染症については、抗ウイルス薬がまだ研究段階であるため特効薬はありません。
そのため、現れている症状それぞれに対して効果のある薬を投与することで症状を落ち着かせる対症療法を行います。
予防
集団感染を防ぐためマスク着用・手洗い・うがいが大切
この病気を予防するためのワクチンはないため、流行期にはウイルスに感染しないように予防することが大切です。
マスクの着用、手洗い、うがいを心がけましょう。
また、子どもがよく触るおもちゃやドアノブは消毒用アルコールなどで掃除をするようにしましょう。
医療機関受診のポイント
風邪のような症状が長引く場合は早めの受診を
咳がひどくなってきたときや、咳が長く続いて治りにくい場合には、RSウイルス感染症にかかっている可能性があります。
幼い子どもほど重症になりやすいので、早めに医療機関を受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
RSウイルス感染症が疑われる場合には、次のことを医師に伝えるようにします。
● いつから、どのような症状があるか
● 風邪のような症状のある子どもや大人との濃厚接触があったかどうか
● RSウイルス感染症にかかっている子どもや大人との濃厚接触があったかどうか
● 食事や水分が摂れているかどうか
受診すべき診療科目
● 内科
● 呼吸器科
● 小児科
乳幼児など15歳以下の子どもの場合には、まず小児科を受診するようにしましょう。
大人は呼吸器を専門とする内科を受診するようにしましょう。