症状
38〜40度程度の高熱、のどの痛み、結膜炎
アデノウイルス感染症の特徴的な症状は、38〜40度程度の高熱、のどの痛み、結膜炎(目やにや目の充血)です。
ただし、感染したウイルスの種類によって症状は様々です。代表的な症状は以下のとおりです。
1) 上気道炎
いわゆる風邪の症状が見られます。
● 発熱
● のどの痛み
● 鼻水
● 咳 など
2) 咽頭結膜熱(プール熱)
子どもの間で、毎年流行がみられる三大夏風邪の1つです。
● 発熱
● のどの痛み
● 目の充血
● 目やに など
夏にプールで感染することがあるためプール熱と呼ばれますが、感染者の鼻水や唾液からも感染するのでプールに入らなくても感染します。
3) 胃腸炎
ロタウイルスと同様、乳幼児の嘔吐下痢症の主な原因になります。
● 嘔吐
● 下痢
● 腹痛 など
4) 流行性角結膜炎
目の症状がほとんどで、高熱やのどの痛みが見られることはあまりありません。
● 目の充血
● 目やに
5) 出血性膀胱炎
アデノウイルスは膀胱炎の原因にもなります。
● 排尿時の痛み
● 血尿 など
そのほかにも、重症化すると、肺炎や髄膜炎なども引き起こします。
原因
アデノウイルスの感染による
アデノウイルス感染症の原因は、アデノウイルスに感染することです。
ウイルスは50種類以上あり、一度感染しても感染を繰り返すという特徴があります。
感染経路は飛沫感染と接触感染です。
感染した人の咳やくしゃみの飛沫を直接吸い込んだり、それを触れた手で目や鼻、口を触ることで感染します。
診断と治療
アデノウイルス感染症の診断
アデノウイルス感染症の診断は、症状がある粘膜(のどや目)を綿棒でこすり、組織を採取する検査を行います。
迅速診断キットで、感染しているかどうかの結果はすぐにわかります。
アデノウイルス感染症の治療
アデノウイルスの治療は、ウイルスに対する特効薬はないため、症状に合わせた対処をする対症療法が中心になります。
高熱が出ることが多く、また、嘔吐や下痢をしている場合には脱水にならないように注意する必要があります。
高熱や強いのどの痛みがあれば解熱鎮痛薬を、目の充血や目やになどの結膜炎の症状があれば点眼薬を使用します。
予防
集団感染の予防が大切
アデノウイルス感染症には、有効なワクチンはなく、予防接種を受けて予防するということはできません。
そのため、感染しないように日常生活で注意すること、また、保育園や幼稚園などでの集団感染を予防することが大切です。
感染予防のためには、手洗い・うがいの励行、また、子どもが触れたおもちゃなどを消毒アルコールなどで拭き掃除をすることも効果的です。
胃腸炎の症状がでた場合は、感染者が吐いたものや便の中にもウイルスがあります。処理後の消毒を徹底しましょう。
医療機関受診のポイント
高熱、のどの痛み、結膜炎の症状が出たら受診を
高熱、のどの痛み、結膜炎の症状が見られたら、アデノウイルス感染症の可能性があります。早めに医療機関を受診しましょう。特別な治療法はありませんが、周囲に感染を拡げないためにも医師の診断を仰ぐようにしましょう。
診察室で医師に伝えること
医療機関を受診した際は、以下を医師に伝えましょう。
● いつ頃からどのような症状があるか
● 周囲に同様の症状、またはアデノウイルス感染を疑う症状の人がいたかどうか
● 食事や水分摂取はできるか
受診すべき診療科目
● 小児科
● 眼科
● 耳鼻咽喉科
● 内科
● 消化器科