症状
発熱・頭痛・嘔吐
ウイルス性髄膜炎では、以下の症状が見られます。
● 38〜40度の高熱
● 頭痛
● 嘔吐・吐き気
また、髄膜炎では以下の特徴的症状があります。
● 頂部硬直
頂部硬直とは、仰向けに寝かせた状態で、頭部を持ち上げると抵抗がある状態です。
通常であれば頭を持ち上げると、あごが胸に当たるように動きますが、頂部硬直の状態では頭とあごが一緒に上がってしまいます。
※1歳未満の乳児では首が柔らかいため、頂部硬直が確認できないことがあります。
● ケルニッヒ兆候
仰向けに寝かせた状態で、股関節を90度に屈曲し、そのまま膝を伸ばそうとすると抵抗が見られます。
通常であれば抵抗なく膝が伸びますが、髄膜炎では膝が十分に伸ばせない、または伸ばそうとすると痛がるという状態になります。
このほか、原因となるウイルスによっては発疹が見られることもあります。
また、粘膜疹(口の中に発疹ができる)や心外膜炎、心筋炎、結膜炎などを合併することがあります。
原因
インフルエンザなどよくある感染症のウイルスも原因に
ウイルス性髄膜炎の原因となるウイルスは多岐にわたります。
インフルエンザやおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、みずぼうそう(水痘)など、よくある病気のウイルスも髄膜炎を引き起こす可能性があります。
ただし、ウイルスが直接、髄膜に感染するということはありません。ウイルスに感染し、症状が進行すると(重症化すると)、髄膜炎を発症するということがほとんどです。
原因となる主なウイルスは以下のとおりです。
● エンテロウイルス
手足口病やヘルパンギーナなどの原因になるウイルス
● ムンプウイルス
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の原因になるウイルス
● ヘルペスウイルス
口唇ヘルペスなどの原因になるウイルス
● アデノウイルス
プール熱(咽頭結膜炎)や胃腸炎などの原因になるウイルス
● 水痘帯状疱疹ウイルス
みずぼうそう(水痘)の原因になるウイルス
● 麻疹
● 風疹
● インフルエンザウイルス など
診断と治療
ウイルス性髄膜炎の診断
ウイルス性髄膜炎の診断では、髄膜炎の特徴的な症状を確認し、髄液を採取して炎症の原因を特定する検査を行います。
髄液は、通常は透明ですが、髄膜炎だと白く濁った状態になります。採取した髄液は、細菌培養検査、ウイルス分離検査や遺伝子検査(PCR)を行って原因となるウイルスを確認します。
ウイルス性髄膜炎の治療
ウイルス性髄膜炎の治療は、発熱や頭痛、嘔吐に対しての対処療法が基本となります。
ヘルペスウイルス、水痘が原因の場合は、アシクロビンという抗ウイルス薬を使用しますが、それ以外は対処療法にて自然治癒を目指します。
細菌性髄膜炎と比べて、ウイルス性髄膜炎は良好な経過をたどりますが、合併症や細菌性感染を防ぐため、入院による治療が一般的です。
予防
ウイルス感染症の流行期には手洗い・うがいを
ウイルス性髄膜炎は、各種ウイルスに感染しないように対策をすることが予防につながります。
ウイルスによる感染症が流行している時には、手洗いやマスクの着用などの感染対策を行いましょう。
また、ムンプスウイルスが原因となるウイルス性髄膜炎は、ワクチンを摂取することにより予防できるとされています。
医療機関受診のポイント
発熱・頭痛・嘔吐などの症状が急激に発症した場合は速やかに受診を
インフルエンザなどのほかのウイルス感染症と診断されており、症状が悪化していると感じたら、再度、医療機関を受診してください。また、急激に症状が変化しているような場合は、救急外来を受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
医療機関受診時は、以下のことを担当医師に伝えましょう。
● いつからどのような症状があるか
● 最近、何らかのウイルスに感染したか
受診すべき診療科目
● 内科
● 小児科
● 脳神経