症状
腹痛がやがて右下腹部の痛みに集中するように
初期の段階では、腹痛と発熱などの風邪によく似た症状が見られます。
急性虫垂炎は放置すると重症化し、腹膜炎などの重い症状につながるため早期に治療を行う必要があります。
1) 軽度の症状 (カタル性)
● 腹痛
● 発熱
● 倦怠感
● 便秘 など
急性虫垂炎の初期の段階では、上腹部(お腹の上の方)に少し痛みがある程度で、風邪のような全身症状が見られます。
この段階で急性虫垂炎と気づくのは難しいかもしれません。
2) 中等度の症状 (蜂窩織炎性)
● 右下腹部の痛み
● 下腹部が硬くなる
● 発熱
● 倦怠感 など
中等度になると、上腹部にあった痛みが右下腹部に集中します。痛みがある部分を押すと痛みが強くなるのが特徴です。
また、大腸の壁部分が厚くなるため、下腹部が硬くなったように感じることもあります。
この他に下痢や嘔吐などの症状が見られる場合もあります。
3) 重度の症状 (壊疽性)
● 右下腹部に激痛
● お腹全体が硬くなる
● 脱水
● 意識障害
重度になると、虫垂の壁に穴が開き(穿孔)、虫垂に貯まった膿が腹腔内に漏れ出てしまいます。このような状態になると腹膜炎を併発する危険性が高くなります。
原因
ストレスや過労も急性虫垂炎を引き起こす要因に
急性虫垂炎の原因はウイルスや細菌への感染です。
ストレスや過労、暴飲暴食も急性虫垂炎を起こしやすくする要因と考えられています。
診断と治療
急性虫垂炎の診断
急性虫垂炎は、触診、超音波検査(エコー検査)、CT検査、X線検査などを行い診断します。
炎症の有無を調べるため、血液検査を行うこともあります。
急性虫垂炎は、子宮内膜症や大腸憩室炎と同じような症状が見らるため、これらの疾患とは区別する必要があります。
急性虫垂炎の治療
急性虫垂炎は早期治療が大切です。
時間が経つと虫垂が破裂する可能性が高くなるからです。発症から48時間が経過すると、8割が虫垂が破裂するともいわれています。
急性虫垂炎の治療は程度により異なります。
軽症の場合は、抗生物質による薬物治療を行い、経過を観察します。
薬物治療が難しい場合は、手術により炎症を起こしている虫垂を切除することが基本となります。
医療機関受診のポイント
右下腹部に痛みが集中し、押すと痛みが強くなる場合は注意
腹部の痛みがやがて右下腹部に集中し、押すと痛みが強くなる場合は、急性虫垂炎の可能性もあります。
急性虫垂炎は早期治療が大切ですので、速やかに医療機関を受診しましょう。
また、激痛で自力で医療機関に行けない、脱水や意識障害を起こしているような場合は救急車を呼びましょう。
診察室で医師に伝えること
● いつから痛みが出はじめたか
● 痛みの強さに変化があるか
● 痛みの場所が移動しているかどうか
● 腹部が硬くなっていないか
受診すべき診療科目
● 内科
● 消化器科