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さるもねらかんせんしょう サルモネラ感染症

サルモネラ菌感染による胃腸炎

からだの部位

腹部

分類

感染症

症状

嘔吐と下痢、38度程度の発熱

サルモネラ感染症の主な症状は以下のとおりです。
サルモネラ菌が口から体内に取り込まれて、1〜3日程度で症状があらわれます。症状は4日〜7日程度続きます。

吐き気
嘔吐
38度程度の発熱
腹痛
下痢(緑色の水のような下痢)
血便(下痢を繰り返すことで便に血が混じる)

下痢は、1日10回以上になることもあり、それが数日から1週間以上続くこともあります。
サルモネラ感染症は、症状が激しく、脱水が急激に進みます。子どもや高齢者は特に体力の消耗や衰弱が激しく、重症化しやすい傾向があります。

サルモネラ感染症は、重症化すると急性腎不全を合併することがあります。
急性腎不全では、腎臓で尿を作る機能が障害されるため、尿が極端に少なくなったり、まったく出なくなったりします。早急に適切な医療処置をしないと命に関わる重大な病気です。下痢、嘔吐が続いていても、尿がある程度出ているかどうかは注意が必要です。

原因

食中毒の代表的な原因菌「サルモネラ菌」

サルモネラ感染症は、サルモネラ菌が口から体内に入ることで感染します。
サルモネラ菌は、日本で発生する食中毒で、一、二を争うほど多い原因菌です。

汚染された食品が原因となる食中毒と、感染した人やペットを介して感染するケースがあります。

【食中毒による感染】
汚染された食品を生で食べたり、十分に加熱処理しないで食べる
汚染された調理器具や手を介して二次的に汚染されたものを食べる

【人やペットを介した感染】
感染者の便の処理後に手洗いが不十分なことによる接触感染
犬、猫、ミドリガメ、イグアナなどの爬虫類をさわった後に手洗いが不十分なことによる接触感染

ペットには症状がなくても、腸内に菌を保持していることがあります。

診断と治療

サルモネラ感染症の診断

サルモネラ感染症は、その症状や患者さんの最近の生活の様子から判断することが一般的です。
便や血液から菌を検出して確定診断することもできますが、検査結果が出るまでに数日かかります。また、サルモネラ感染症に対する効果的な治療法はないため、検査をしないことも多いです。

サルモネラ感染症の治療

サルモネラ感染症の治療は、症状に応じて対処する対症療法が基本です。
発熱や下痢、嘔吐により脱水が見られることが多いので、点滴や経口補水液を使用して水分の補給を行います。
原因となるサルモネラ菌を体外に排出するため、通常は、下痢止めなどの薬は使用しません。

予防

特に夏場は食中毒の対策を

夏場など食中毒が起こりやすい時期には、しっかりと対策をとりましょう。

調理の際は、手洗いをしっかりしましょう。
肉類はよく加熱しましょう。(75度で1分以上加熱)
卵は冷蔵保存し、割ったら早めに食べましょう。
調理器具はよく洗い、消毒しましょう。
調理器具は、肉とその他の食品でわけて使いましょう。

また、サルモネラ感染症は、人の便やペットを触れた手からも感染します。
トイレやオムツ交換後、ペットを触った後は、しっかり手を洗いましょう。手指用の消毒液を使用すると効果的です。

医療機関受診のポイント

嘔吐・下痢が続く場合は医療機関の受診を

嘔吐や下痢が続くと、脱水になりやすくなります。水分を摂取してもすぐ吐いてしまうような場合は注意が必要です。重症になると、急性腎不全を併発することもあるので、嘔吐や下痢が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。

診察室で医師に伝えること

医療機関を受診する際は、以下の内容を医師に伝えましょう。
いつ頃からどんな症状があるか
症状が起きる前、数日間に食べたもの

受診すべき診療科目

内科
消化器科
小児科

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