症状
我慢できないほど強い尿意
過活動膀胱の主な症状は、以下の3つです。
● 尿意切迫感
急に我慢できないほどの強い尿意をもよおします。
● 頻尿
朝起きてから寝るまでに、8回以上も頻繁にトイレに行くことを頻尿といいます。
● 夜間頻尿
就寝中に、尿意で何度も目が覚めてしまう状態です。
● 切迫性尿失禁
トイレに行くまでに我慢ができずに漏らしてしまうことです。漏れるといっても、ごく少量であることが多いです。
原因
男性では前立腺肥大、女性では骨盤底筋のゆるみが多い
過活動膀胱の主な原因は、以下のとおりです。原因が不明な場合も多くあります。
男性で多いのが前立腺肥大、女性で多いのが妊娠や出産、加齢による骨盤底筋のゆるみといわれています。
● 加齢
● 精神的ストレス
● 前立腺肥大(男性のみ)
● 骨盤底筋のゆるみ(女性に多い)
● 神経障害 など
神経障害は、脳と膀胱をつなぐ神経に何らかの障害が起きている状態です。
脳梗塞などの脳血管障害やパーキンソン病、脊髄損傷による後遺症などで神経に障害が生じます。
診断と治療
過活動膀胱の診断
過活動膀胱の診断では、過活動膀胱症状質問票(OABSS)の結果が重要な判断材料になります。
前立腺肥大や尿路結石、感染症、悪性腫瘍といった他の病気による症状ではないかを調べるために、尿検査、血液検査、腹部の超音波検査などの検査が行うことがあります。
【過活動膀胱症状質問票(OABSS)】
普段の症状について質問する、過活動膀胱専用の問診票です。以下の質問でスコアをつけ、重症度を確認します。
● 朝起きてから寝るまでに何回くらい排尿したか
● 夜寝てから朝起きるまでに何回くらい尿をするために起きたか
● 急に尿をしたくなり、我慢が難しいことはあったか
● 急に尿をしたくなり、我慢できずに尿を漏らしたことはあったか
過活動膀胱の治療
過活動膀胱の治療では、薬物療法と行動療法を並行することが一般的です。
1) 薬物療法
膀胱の収縮を抑える薬(抗コリン薬)や、膀胱を弛緩させることで膀胱の容量を広げる薬(β3刺激薬)などを使用します。
2) 行動療法
● 膀胱訓練
尿意を感じても我慢する、夜中に目が覚めてもトイレを我慢するという訓練を行います。
● 骨盤底筋体操
尿道、膣、肛門を閉める体操を行い、尿もれ対策を行います。
その他にも排尿日誌をつけたり、水分摂取量を調整したりすることもあります。
薬物療法、行動療法の他に、電気刺激治療を行うことがあります。
医療機関受診のポイント
トイレの回数が増えた、尿意を我慢できないという方は受診してください
排尿について気になることがあれば、まず専門家に相談してみるという姿勢が大切です。
「尿意を我慢できない」「トイレの回数が多い」「失禁することがある」と、日常生活で困ったことが生じたときには、恥ずかしがらずに医療機関を受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
診察の際は、医師に以下を伝えましょう。
● いつ頃からどのような症状があるか
● 1日に何回くらいトイレに行くか(日中と就寝時)
● 尿もれすることはあるか
● 排尿時に痛みなどはあるか
● 日常生活で困ることはあるか(外出を控える等)
余裕があれば、排尿日誌をつけて持参する診断に役立ちます。
排尿日誌には、トイレに行った時間とその時の尿量、夜間のトイレの回数、水分摂取量、ほかにも尿失禁や尿意の有無など3日分くらいメモをしておきます。
受診すべき診療科目
● 泌尿器科