症状
睡眠中のいびきや無呼吸状態を家族から指摘される
睡眠時無呼吸症候群の主な症状は以下のとおりです。
睡眠中のいびきや呼吸状態は、なかなか自覚することは難しく、家族に指摘されることが多いです。
● いびき
● 睡眠中の無呼吸や低呼吸
● 日中の強い眠気や倦怠感
● 睡眠途中に目が覚める
● 起床時の口腔内乾燥 など
子どもの場合は、これらの症状に加えて、日中の眠気のために落ち着きがなくなったり、身長や体重の増加が鈍化する傾向があります。
睡眠中に無呼吸や低呼吸の状態になると、十分な酸素を取り込むことができず、肺や脳、心臓などに負担がかかります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが高くなるといわれています。また、日中に強い眠気に襲われることから、居眠り運転による交通事故や労働時の事故の危険も高まります。
原因
気道が狭くなったり塞がってしまう閉塞性が大半
睡眠時無呼吸症候群の原因は、閉塞性と中枢性の2つがあると考えられています。
ただし、ほとんどが閉塞性で、中枢性は無呼吸症候群の数%程度といわれています。
1) 閉塞性無呼吸
睡眠中に空気の通り道である気道が狭くなったり、塞がってしまうことで無呼吸や低呼吸の状態になります。
主な原因は以下の身体的理由があげられます。
● 肥満による首周りの脂肪の沈着
● 首が短い
● 扁桃肥大
● 舌が大きい など
また、アゴが細くて小さい、歯並びが悪いなども閉塞性無呼吸になりやすいといわれています。
2) 中枢性無呼吸
呼吸中枢の機能異常により、脳から信号が送られず、無呼吸になってしまいます。
中枢性無呼吸の場合、いびきの症状は見られません。
診断と治療
睡眠時無呼吸症候群の診断
睡眠時無呼吸症候群の診断は、睡眠時の呼吸の状態を確認する検査を行います。
睡眠中1時間あたりに10秒以上続く無呼吸や低呼吸の回数が何回あるかを調べます。1時間に5回以上あれば睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
【睡眠時無呼吸症候群の症状の程度】
1時間あたりに10秒以上続く無呼吸や低呼吸の回数で判断されます。
1) 軽症 5回以上15回未満
2) 中等症 15回以上30回未満
3) 重症 30回以上
睡眠時の検査には、自宅でできる簡易睡眠検査もありますが、正確な診断には睡眠ポリグラフ検査が必要があります。
● 睡眠ポリグラフ検査
一晩入院して検査を行います。
身体に様々なセンサーを取り付け、睡眠中の脳波、呼吸状態、心電図、体位などを記録し、睡眠の質や呼吸状態を解析します。
睡眠ポリグラフ検査では、睡眠時無呼吸症候群がどの程度かがわかります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群の治療は、以下のとおりです。
● CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
睡眠時にマスクを着用し、専用の機械で空気を送り込むことで、気道を広げるという治療法です。
慣れるまでに多少の時間はかかりますが、慣れれば熟睡することができます。
中等度と診断された場合は保険適用になります。月1回の通院が必要です。
● マウスピース
軽症の場合、睡眠時にマウスピースを装着する方法です。
噛み合わせやアゴを正しい位置にすることができ、呼吸しやすい環境をつくります。
● 外科的治療
扁桃肥大が原因になっている場合は、扁桃摘出手術を行うことがあります。
また、肥満による睡眠時無呼吸症候群の場合は、肥満の改善、ダイエットがもっとも大切な治療になります。
予防
原因の1つになる肥満は予防・改善しましょう
原因の1つが「肥満」であるため、肥満を予防、改善することが、睡眠時無呼吸症候群の予防にもつながります。
適度な飲酒、禁煙も睡眠時無呼吸症候群の予防には効果があります。
医療機関受診のポイント
家族に指摘されたら受診しましょう
家族などに睡眠時の無呼吸を指摘された場合や、熟睡感がない、昼間の眠気が強いなどの自覚症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。早めに医療機関を受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
診察の際は、以下を医師に伝えましょう。
● 睡眠時の無呼吸や低呼吸の状態 (自覚症状、家族からの指摘など)
● 熟睡感はあるか
● 昼間に強い眠気を感じることはあるか
受診すべき診療科目
● 呼吸器科
● 耳鼻咽喉科