メディカルウェブ事典

にがたとうにょうびょう 2型糖尿病

生活習慣に起因する糖尿病

からだの部位

全身

症状

症状は気づきにくく、健康診断で初めて気づくことも

2型糖尿病の自覚症状は、以下のとおりです。
症状がなかったり、あっても気づかなかったりするため、健康診断などで初めてわかるということが多いです。

のどが渇く(水分をたくさん摂取する)
尿が多い(多尿)
体重減少
疲れやすい(疲労感)

【糖尿病の三大合併症】
糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、様々な合併症を引き起こします。
糖尿病性腎症
糖尿病性網膜症
糖尿病性神経障害

進行すると、糖尿病性腎症では人工透析が必要になったり、糖尿病性網膜症では失明のリスクが高くなります。
糖尿病は、合併症を起こす前に適切な治療を行い、血糖値をコントロールすることが大切です。

原因

遺伝因子と環境因子が複雑に絡み合うことで発症

2型糖尿病は、遺伝因子と環境因子が複雑に絡み合うことで発症すると考えられています。

1) 遺伝因子
糖尿病は遺伝的な要素が強い病気で、「糖尿病になりやすい体質」は遺伝すると考えられています。
日本人は、血液中の糖分を処理する能力(耐糖能)が低いため、糖尿病になりやすい体質といわれています。
※糖尿病そのものが遺伝するわけではありません。

2) 環境因子
環境因子は、次のようなものがあげられます。
食生活
運動不足
肥満
ストレス
喫煙
加齢   など

環境因子の1つに肥満がありますが、痩せている人は糖尿病にならないというものではありません。
痩せている人でも糖尿病になりやすい体質の方はいます。また、太っていた人が急に痩せたと思ったら糖尿病だったということもあります。

診断と治療

2型糖尿病の診断

2型糖尿病の診断では、血糖値を調べる血液検査を行います。

血糖値は、食事をした後は上がり、健康な人であればインスリンの分泌により下がります。
糖尿病の検査では、食事の影響によって変動する血糖値を3つのタイミングで測定します。

早朝空腹時血糖検査
検査当日の朝食を抜いた状態で採血を行い、空腹時の血糖値を調べる検査です。

随時血糖検査
食事後からの時間を決めずに採血を行い、血糖値を調べる検査です。

経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)
検査当日の朝まで10時間以上絶食した状態で、空腹時の血糖値を測定します。
その後、ブドウ糖液を飲み=不動糖負荷後、30分後、1時間後、2時間後に採血を行い、血糖値を調べる検査です。
※自覚症状等から明らかに高血糖の患者さんは、この検査は行いません。

これらの検査結果により、以下のように診断されます。

①〜④のいずれかが確認された場合は、「糖尿病型」と判定されます。
①〜③のいずれかと④が確認された場合は、「糖尿病」と判定されます。

① 早朝空腹時血糖値 126mg/dL以上
② 75gOGTT 2時間値 200mg/dL以上
③ 随時血糖値     200mg/dL以上
④ HbA1C  6.5%以上

⑤および⑥が確認された場合は、「正常型」と判定されます。

⑤ 早朝空腹時血糖値 110mg/dL未満
⑥ 75gOGTT2時間値 140mg/dl未満

糖尿病、糖尿病型、正常型のいずれにも当てはまらない場合は、「境界型」と判定されます。

2型糖尿病の治療

2型糖尿病の治療は、まずは食事療法と運動療法による生活習慣の改善が基本となります。
生活習慣の改善で効果が得られなかった場合には、薬物療法を併用します。

食事療法
1日の活動量と身長・体重から適切なカロリー摂取量を算出します。
それに応じて栄養バランスのよい食生活を心がけることが大切です。

運動療法
無理のない範囲で毎日続けられる運動をしましょう。

薬物療法
はじめは、経口の血糖降下薬を使用します。
経口薬で血糖コントロールがうまくいかない場合は、インスリン注射を少量から開始します。
インスリン注射は、自己注射です。指導のもと、主に腹部にごく細い針で注射をします。


血糖降下薬やインスリン注射を行っているから大丈夫というわけではありません。
2型糖尿病の治療では、食事療法と運動療法が非常に重要です、これらを怠ると、薬物療法でも十分な効果が得られないことが多いです。

予防

バランスの良い食生活と運動習慣を

2型糖尿病は、正しい生活習慣により予防することができます。
原因となる環境因子をいかに減らせるかが重要です。

バランスのよい食生活
適切なカロリー摂取量で、バランスの良い食事をとることが大切です。
アルコール摂取量は適量とし、暴飲暴食は控えましょう。腹八分目を心がけるようにしてください。

運動習慣をつける
階段を使ったり、掃除や散歩、通勤などで、意識的に身体を動かすようにしましょう。
1日の運動量を増やすことで、少しずつでも定期的に続けることが糖尿病の予防につながります。

医療機関受診のポイント

健康診断で血糖値が高めとわかったら早めに受診を

糖尿病は早めに適切な治療で血糖コントロールをすることで、合併症を防ぐことができます。健康診断などで血糖値が高いことがわかったら、医療機関を受診し、医師の指導を仰ぐようにしてください。

診察室で医師に伝えること

健康診断の結果
普段の食生活と運動量について
体重の推移(過去に急激に太ったり痩せたりすることがあったか)
家族に糖尿病の人がいるか
飲酒、喫煙歴
今までにかかった病気(お薬手帳を持参)

受診すべき診療科目

内科
代謝・内分泌科

にがたとうにょうびょう 2型糖尿病