メディカルウェブ事典

とっぱつせいほっしん 突発性発疹

乳幼児がかかることの多いウイルス感染症

診療科目

小児科

からだの部位

分類

小児

症状

急な高熱と発疹ができる

突発性発疹は、急な高熱と発疹ができることが特徴です。以下のような経過をたどることが一般的です。

1) 突然38度以上の高熱が出る
2) 高熱が3〜4日程度つづく
3) 熱が下がる頃にブツブツとした赤い発疹ができる
4) 発疹はお腹や背中を中心に、手や首に広がる
5) 発疹は1〜2日程度で自然に消える

高い熱が出る割には、比較的、元気な様子であることが多いです。
発疹は、顔や足にもみられることがあります。また、咽頭部が赤くなり、口蓋垂(こうがいすい:のどちんこ)の両側にまだら状に発赤がみられることもあります。

発熱と発疹以外にも、以下のような症状を伴うことがあります。
軟便・下痢
まぶたのむくみ
リンパの腫れ
大泉門の膨隆
※大泉門…ひたいの上部にある、骨と骨の継ぎ目部分。赤ちゃんの頃は未発達であるため触るとぺこぺこ・ぶよぶよしていると感じる部分


突発性発疹は、一般的に予後は良好とされていますが、熱性けいれんや脳症などの重篤な合併症を引き起こすこともあるため、高熱が出ている間は子どもから目を離さないようにしましょう。

【重篤な合併症】
熱性けいれん
熱が上がる際にみられることが多く、身体が硬直したり、手足が震えたりする発作がみられます。

脳炎
発疹が現れる2~3日前にけいれんや意識障害がみられることがあり、脳・神経系が障害され、手足の麻痺、言語障害などの後遺症が残ることもあります。

脳症
突発性発疹にかかったことをきっかけにけいれんや脳の障害がみられることがあります。
長いけいれん(痙攣重積:15時間連続で起こる長いけいれん)がみられた後、けいれんと意識障害が良くなってから再度短いけいれんを起こし、意識障害がみられるものを痙攣重積型脳症と言います。

劇症肝炎
急激にウイルスを排除することにより、意識障害を伴って肝臓が重度に障害されます。予後は不良となります。

血小板減少性紫斑病
ウイルス感染をきっかけに血小板の数が減少して出血しやすくなります。子供の場合は6ヶ月以内に回復する急性型が多くみられます。

原因

ヒトヘルペスウイルスの感染による

ヒトヘルペスウイルス6(HHV‐6)またはヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)に感染することで発症します。
初めての感染はヒトヘルペスウイルス6が原因であることが多く、2回目以降はヘルペスウイルス7の感染によるものが多いとされています。これは、母親からもらう抗体がヒトヘルペスウイルス6の方が多いことが関係しているといわれています。

感染後は、体内にウイルスを持ち続けていても発症はしない潜伏感染状態が続き、主に、唾液中に排出されたヒトヘルペスウイルスが経口的、または経気道的な感染経路で感染するといわれています。
感染してからの潜伏期間は約10日間です。1年を通して感染者はみられ、季節による感染者の増減もありません。

診断と治療

突発性発疹の診断

突発性発疹は、以下の特徴を医師が確認した上で診断を行います。検査を行うことはほとんどありません。

5歳未満であること
突然に発熱して2〜4日間持続する
熱が下がると同じくらいに体幹部、手足、顔に赤い発疹が現れる

生後6ヶ月を過ぎて初めての高熱が出て、熱が下がる前後に身体に発疹が現れること、高い熱の割には元気そうなこと、他の高熱や発疹が出る疾患と鑑別をした上で「突発性発疹でしょうね」と診断されることがほとんどです。

突発性発疹の治療

突発性発疹の原因であるヒトヘルペスウイルスに効く薬はありません。
高い熱が出るので、安静と休養を心掛け、脱水とならないように水分補給をこまめに行うことがメインの治療となります。

高熱のために食欲がない、水分が摂れない場合は、解熱剤で一時的に熱を下げ、熱が下がっている間に食事や水分を摂るように勧められることもあります。
まれにけいれんや脳炎・脳症などが起こることもあるので、高熱が出ている間は子供から目を離さないようにして、すぐに治まらないけいれん、もしくは意識障害が現れた場合は救急搬送しましょう。けいれんや意識障害以外の症状でも、いつもと様子が違うと感じた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。自分で判断がつかない場合は、かかりつけの医療機関や市や県の救急相談センターなどに連絡・相談してください。

医療機関受診のポイント

38度以上の高熱が出た場合、熱が下がって赤い発疹が体に現れた場合は、医療機関を受診しましょう。

診察室で医師に伝えること

医療機関を受診する際は、以下の内容を医師に伝えましょう。
熱は何度あるか
いつから熱が出ているか
食欲はあるか、水分は摂れているか
熱や症状の経過
機嫌はいつもと比べてどうか
便の状態
おしっこの回数は減っていないか
その他の気になる症状
兄弟や周りで流行っている病気はあるか
既往歴
飲んでいる薬

受診すべき診療科目

小児科

とっぱつせいほっしん 突発性発疹

診療科目

小児科

からだの部位

分類

小児