症状
小腸で乳糖が分解されないため下痢になる
乳糖不耐症の主な症状は以下のとおりです。
乳糖不耐症は、本来、小腸で分解される乳糖が分解されないまま大腸に到達するため、大腸の浸透圧が変化することで下痢になります。
1) 大人の場合
● 腹痛
● 腹部膨満感
● 吐き気
● 下痢
2) 乳児の場合
先天性の場合は、ミルクや母乳を摂取する新生児や乳児の頃から、以下のような症状が見られます。
● 母乳やミルクを飲み始めてすぐに酸っぱいにおいのする下痢便をする
● 母乳やミルクを十分に摂取しているにも関わらず体重が増えない
原因
先天性のものと他の病気が原因になる二次性のもの
乳糖不耐症の原因は、以下の2つがあります。
1) 先天性乳糖不耐症
生まれながら乳糖分解酵素がないことが原因になるケースです。
その中でも、日本人などのアジア人でよく見られるのは、2歳以降に発症することが多い遅発性乳糖不耐症です。
2) 続発性(二次性)乳糖不耐症
さまざまな原因で、一時的に乳糖分解酵素の働きが低下しているケースです。
乳糖不耐症の患者さんは、こちらのケースが大半といわれています。
続発性乳糖不耐症の原因は以下のとおりです。
● ロタウイルス腸炎
● 難治性下痢症
● 免疫不全
● 潰瘍性大腸炎
● クローン病
● 胃の切除 など
また、抗生物質の投与による副作用としてみられることもあります。
診断と治療
乳糖不耐症の診断
乳糖不耐症は、乳製品のアレルギーでも似たような症状が出るため、アレルギーと区別して診断をする必要があります。
簡単な診断方法としては、乳糖不耐症を疑われる方に乳糖分解酵素製剤を服用してもらい、症状が軽快すれば乳糖不耐症と診断されます。
併せて、血液検査や経口乳糖試験などの検査を行います。
乳糖不耐症の治療
乳糖不耐症の治療方法は以下のとおりです。
1) 先天性乳糖不耐症
● 乳児には、母乳・ミルクを中止して乳糖を含まない原料で作った無乳糖乳を与えます。
● 不足している乳糖分解酵素を薬剤で補充する方法があります。
● 牛乳で下痢になる場合は、乳糖を分解処理した製品を選ぶことで下痢をしなくなる場合もあります。
2) 続発性(二次性)乳糖不耐症
風邪やウイルス感染、他の疾患により起こる下痢のため、一時的に乳糖分解酵素が減少している場合がほとんどです。
この場合、下痢を引き起こしている原因の改善や治療を行い、下痢が落ち着き回復するまでは乳糖の摂取を控えるようにします。
予防
乳糖不耐症の患者さんは食事管理で症状の予防を
乳糖不耐症そのものは予防できるものではありません。
乳糖不耐症の患者さんは、原則として乳糖を摂取しないことで症状を予防することができます。
赤ちゃんの場合は母乳やミルクを中止して無乳糖乳を与えたり、乳糖を分解処理した製品を選ぶなど、日々の食生活を管理することも大切です。
医療機関受診のポイント
母乳や乳製品の摂取後に下痢をする場合は受診を
赤ちゃんの場合、下痢をしたり、体重の増えが悪い場合は乳糖不耐症の可能性もあります。
また、乳製品で消化器症状がみられる場合は、アレルギーと区別する必要があるので、早めに医療機関を受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
赤ちゃんの場合は、お母さんが客観的にみた様子を伝えることが必要です。以下のことを医師に伝えましょう。
● 母乳やミルクの摂取後の下痢の有無
● おなかの張りがあるかどうか
● 授乳前後の泣き方の様子など
大人の場合は以下のことを伝えましょう。
● 乳製品アレルギーの有無
● どのタイミングで症状が出現するか
● 既往疾患や内服歴
受診すべき診療科目
● 内科
● 消化器科
● 小児科