症状
感染する菌の種類により症状やその程度は異なる
症状は、尿道炎の種類(感染する菌の種類)によって異なります。
1) 淋菌性尿道炎
感染からおよそ7日以内で急性尿道炎の症状があらわれます。
● 尿の出口(尿道口)から濃厚な膿が出る
● 尿道口が赤くなる
● 排尿時に痛みを感じる(尿道が焼けるような痛み)
【男性の場合】
● 亀頭全体に赤みが及ぶことがある
● 陰茎全体が炎症により腫れることがある
● 前立腺炎や精巣上体炎の原因になることがある
【女性の場合】
● あまり症状が出ないことが多い
2) クラミジア尿道炎
感染のきっかけとなる行為から1~3週間後に発症します。比較的ゆっくりと発症し、尿道痛はほとんどありません。
● かゆみを感じる
● 尿道から分泌物が出ることがある
【男性の場合】
● 前立腺炎や精巣上体炎の原因になることがある
【女性の場合】
● 膣炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎の原因になることがある
● 症状が出ないことが多く、妊婦の約30%に検出される
2) 非淋菌非クラミジア性尿道炎
マイコプラズマ、ウレアプラズマによる尿道炎は、クラミジア尿道炎と同じような症状を示します。
トリコモナスによる尿道炎は、尿道の痛み、かゆみ、膿の分泌などの症状がみられます。
原因
多くは性行為による微生物感染
尿道炎の主な原因は性行為による微生物感染です。感染する菌によって特徴が異なります。
1) 淋菌性尿道炎
淋菌(りんきん)の感染による尿道炎です。
淋菌は感染力が強く、性行為の2〜8日後と比較的短期間で症状があらわれるのが特徴です。オーラルセックスだけでも感染することがあります。
2) クラミジア尿道炎
クラミジアの感染による尿道炎です。
以前は淋菌によるものが多かったのですが、最近はクラミジアが原因になることが増えています。症状が軽いことが多いため、受診率が低く、気づかずにパートナーなどに感染を拡げてしまうことがあります。
3) その他
性行為によらなくても尿道炎になることがあります。
疲労などで抵抗力が低下していたり、高齢で陰部の自浄機能が低下している場合にかかりやすくなります。健康であれば病気の原因にならない腸内細菌などが原因となります。
診断と治療
尿道炎の診断
症状を確認した上で、尿道の内分泌物または尿中の白血球などを調べることで診断します。
以下のような検査を行います。
● グラム染色鏡検法
尿道内分泌もしくは尿を調べる検査です。多数の白血球と球菌があるかを確認します。
● 分離培養法または核酸増幅同定法
原因となっている菌を調べる検査です。
尿道炎の治療
治療は、抗菌薬の投与が基本となります。
薬の効果を確認するため、何度か通院する必要があります。
尿道炎は、自然に治ることはないため、必ず治療を受け、症状が治まったからと言って途中で治療をやめることがないようにしてください。
また、性行為による感染の場合は、パートナーも同時に治療をする必要があります。
予防
尿道炎は、性行為による感染が多いため、性交渉ではコンドームを使用する、オーラルセックスをしないことを心がけましょう。
また、性行為によらずとも感染する場合があります。毎日シャワーなどで清潔に保つこと、また、水分を十分に摂って尿量を保つことも予防につながります。
医療機関受診のポイント
気になる症状がある場合は、感染拡大を防ぐためにも早めに受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
医療機関を受診した際は、以下を医師に伝えてください。
● いつから症状があるか、またその程度
● 性的な接触や性交の時期
● これまでの病気、現在薬を飲んでいるか
● 同じ症状で受診、治療をしたことがあるか
受診すべき診療科目
● 腎・泌尿器
● 婦人科