症状
熱が上がるのと同時に発作的なけいれん
一般的に、熱性けいれんは38度以上の高熱がみられる際、熱が上がるのと同時に起こりやすいです。
● 身体を反らして硬直する
● 手足をガタガタ震わせる
● 意識がなく呼びかけに反応しない
● 顔色が青〜紫色になることもある
ほとんどの場合は左右対称に症状があらわれることが多く、長くても5分以内で発作は治まります。
発作が治まった後は意識は戻り、呼吸も整ってそのまま寝てしまうことが多いです。熱が下がると後遺症もなく、予後良好で経過することがほとんどです。
ただし、まれに、以下のような症状がみられる場合があります。
● 身体の半側だけや一部にだけけいれんがみられる
● けいれんの後に身体の麻痺がみられる
● けいれんはみられず、白目を向いたり一点を見つめてぼーっとしたりなどの意識障害のみがみられる
● 嘔吐や頭痛を伴う
【熱性けいれんと似た症状がみられる病気】
● 細菌性髄膜炎
熱性けいれんと同様に、高熱とけいれんがみられます。
細菌性髄膜炎は、治療開始の遅れが命に関わることがあります。
細菌性髄膜炎の場合は、高熱とけいれんとともに、激しい頭痛、吐き気、嘔吐、眼球運動の異常、項部硬直(後頭部と首の後ろの筋肉が緊張して硬くなり、痛みを生じる)、意識障害、出血斑がみられます。
原因
突発性発疹やインフルエンザによる高熱で多くみられる
熱性けいれんがみられるのは、38度以上の高熱を伴う場合が多く、熱性けいれんの発作前後に発熱があることが要因の1つとされています。
特に、突発性発疹やインフルエンザで高熱がある時に、多くみられます。
熱性けいれんを起こした子どもの両親のいずれか、または兄弟姉妹が熱性けいれんの既往がある場合に起こりやすいことから、遺伝や体質も1つの要因とされています。
また、生後6ヶ月から3歳までの乳幼児に特によくみられ、6歳以上ではほとんどみられないことから、5歳までの乳幼児という年齢も関与しているとされています。
診断と治療
熱性けいれんの診断
以下の場合は、熱性けいれんと診断されます。
● 生後6ヶ月〜60ヶ月(5歳)までの乳幼児である
● 38度以上の高熱が伴うけいれん性、または、非けいれん性の発作である
● 髄膜炎などの中枢神経感染症や代謝異常、その他発作の原因となる疾患が認められない
● てんかんの既往がない
以下に1つでも当てはまる場合は、複雑型熱性けいれんと呼ばれます。
後にてんかんの発症につながる場合があります。
● 15分以上の発作が続く
● 24時間以内に発作を繰り返す場合
● 焦点性発作(部分発作)がみられる場合
※焦点性発作(部分発作)の例
・身体の一部分にだけ不随意運動がみられる
・身体の半側だけが震えたり硬直したり、眼球の位置の左右差がみられる
・意識が薄れて一点を見つめてぼーっとしている、身体の動きが止まっているなど、体の震えや硬直はみられず、意識障害のみがみられる場合
また、発作が5~10分の間に治まらずに続く場合、発作を繰り返し、発作と発作の間に脳機能が回復しない場合は、熱性けいれん重積状態と呼ばれます。
熱性けいれんが1歳未満でみられた場合、両親のいずれか一方にでも熱性けいれんの既往がある場合、1時間以内に発熱と熱性けいれんがみられた場合、38度以下で熱性けいれんがみられた場合は、再発の可能性が高いとされます。
状態により、発熱や痙攣の原因や炎症値を調べるために血液検査、ウイルス・細菌感染症の迅速診断検査、CT検査、MRI検査を行います。また、細菌性髄膜炎との鑑別を図るための髄液検査を行うことや、けいれんが長引く時には脳波をとることもあります。
熱性けいれんの治療
熱性けいれんがみられたら、落ち着いて以下のように行動しましょう。
<自宅でとる行動>
● まずは落ち着いて時間を確認します。
● 呼吸が行いやすいように首元やウエストなど、子供の服を緩めます。
● 嘔吐したものがのどに詰まるのを防ぐために子どもの顔を横向きにします。
● けいれん時の左右差や目の動きなどを確認しましょう。
● けいれんが治まって意識が戻った時間を確認しましょう。
● 体温を測りましょう。
● けいれんが治まったら、規則正しい呼吸をしているか、麻痺はないかを確認しましょう。
<医療機関での処置>
医療機関では、熱性けいれんの発作が治まっていれば、発作に対する治療は特にありません。
高熱がみられる場合は解熱剤が処方されることがあります。
けいれんが続いている場合は、後遺症を防ぐためにけいれんを止めるための点滴が行われます。
医療機関受診のポイント
初めて起こった場合、1歳未満の場合は速やかに受診を
熱性けいれんが初めて起こった場合、1歳未満の場合はすみやかに医療機関を受診しましょう。
以下のような場合は、救急搬送しましょう。
● けいれんが5分以上続いている場合
● けいれんがみられる前後に嘔吐や頭痛、意識障害を伴う場合
● 一部にだけ痙攣がみられる場合
● 症状や眼球の運動に左右差がある場合
● 短い期間に何回も発作を繰り返す場合
● 意識が戻らない場合、意識が低下している場合
診察室で医師に伝えること
医療機関を受診する際は、以下の内容を医師に伝えましょう。
● 熱性けいれんが続いた時間
● 体温
● 発作時の様子(どのような発作だったか、左右差や部分的な症状はなかったか、頭痛、嘔吐、意識障害が発作前後にみられなかったか)
● けいれんが治まってから意識が戻るまでの時間
● 熱性けいれんを起こしたのは何回目か
受診すべき診療科目
● 小児科