症状
「コンコンコンコンヒュー」という咳が連続
百日咳の主な症状は以下のとおりです。
百日咳菌に感染すると、7〜10日程度の潜伏期間を経て、風邪のような症状からはじまります。その後、少しずつ咳が激しくなります。
● 鼻水やくしゃみ
● 微熱
● 結膜の充血
● 咳
百日咳では、徐々に咳の回数が増え、特徴的な咳が強く出るようになります。
スタッカートという短い咳が息を吸い込む間もないほど続き、咳の合間に息を吸うとヒューという笛のような音(笛声)がなります。これが連続して「コンコンコンコンヒュー、コンコンコンコンヒュー、コンコンコンコンヒュー」というように起こります。嘔吐を伴うことも少なくありません。
この咳は、2〜6週間ほど続き、その後も軽い咳が長期間続くため、百日咳と呼ばれます。
ただし、1歳未満の乳児では特徴的な咳が見られず、無呼吸やチアノーゼが見られます。
また、大人やワクチンの効果が薄れた頃に感染した場合も、この特徴的な咳が見られず、軽症で済むことがあります。
重症化すると、肺炎や脳症、けいれんを合併することがあるので注意が必要です。
原因
百日咳菌の感染による
百日咳は、百日咳菌に感染することで起こります。
感染者の咳やくしゃみの飛沫を吸い込むことで感染したり(飛沫感染)、唾液や鼻水といった分泌物に触ることで感染(接触感染)します。
診断と治療
百日咳の診断
百日咳の診断では、まず問診でどのような咳が出ているかを確認します。
咳の様子から百日咳が疑われる場合には、のどや鼻の奥を綿棒でぬぐい、菌の種類を調べる培養検査を行います。
百日咳の治療
百日咳の治療には、抗菌薬が使用されます。
発症から1〜2週間以内に抗菌薬の内服を開始すると、特徴的な咳に効果があるといわれています。
内服薬で5日間続けることで菌の排出がなくなり、感染力が低下するといわれています。家庭内で感染者が出た場合には、家族も予防のために抗菌薬を服用することがあります。
【学校の出席停止について】
百日咳は、第2種の感染症に指定されており、学校保健安全法で一定期間の出席停止が義務付けられています。
出席停止の期間は、特徴的な咳が消えるまで、もしくは、5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまでです。ただし、医師が感染のおそれがないと認めたときはこの限りではありません。
予防
4種混合ワクチンを受けましょう
百日咳の予防には、ワクチン接種が有効です。4種混合ワクチンを受けるようにしましょう。
● 4種混合ワクチン
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4種のワクチンです。生後3ヶ月から接種可能です。
4種混合ワクチンは定期接種なので、対象年齢では公費(無料)で受けることができます。
医療機関受診のポイント
咳が長引いたり短い咳が連続するような場合は早めに受診を
風邪のときとは違う咳が出たり、咳が長引くようなときには、百日咳の可能性があります。
咳が軽くても、身近に百日咳を診断された人がいる場合には、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
診察室で医師に伝えること
診察の際は、以下の内容を医師に伝えましょう。
● どのような症状がいつから出ているか
● ひどい咳が出るか
● 周りに百日咳を診断された人がいるか
● 慢性呼吸器疾患を患っているか
● 百日咳のワクチン接種を受けた時期
受診すべき診療科目
● 小児科
● 内科
● 呼吸器科