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りゅうこうせいじかせんえん(おたふくかぜ) 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

頬がおたふくのように腫れる感染症

診療科目

内科 小児科

からだの部位

全身

分類

感染症

症状

発熱と耳の下や頬の腫れ

頬の腫れの例

流行性耳下腺炎の主な症状は以下のとおりです。
原因となるウイルス感染後、1〜2週間程度の潜伏期間を経て、発熱と頬の腫れがあらわれます。ただし、熱は出ないこともあります。

38度前後の発熱
耳の下や頬の腫れ
腫れている部分の痛み
ものを噛むときの痛み

耳の下や頬の腫れは、はじめは片側のみでその後両側になります。その様子が「おたふく」のようなので、「おたふくかぜ」と呼ばれます。
腫れは片側のみの場合もあります。腫れている部分は、触ったり、押したりすると痛みを伴います。

この腫れは、唾液の分泌をしている唾液腺が炎症により腫れるためです。
唾液腺は、耳の下にある耳下腺、顎の下にある顎下腺、舌の下にある舌下腺とありますが、流行性耳下腺炎では、耳下腺から顎下腺、舌下腺まで炎症による腫れが拡がることがあります。

症状は、4〜7日程度で治まります。

子どもは比較的症状が軽くて済みますが、思春期以降に発症すると、合併症などを引き起こし重症化しやすいといわれています。特に、男性の20〜30%程度は睾丸炎、女性の7%程度は卵巣炎を併発しています。これらは将来的に不妊の原因になるため、注意が必要です。
そのほかの合併症としては、稀ですが、無菌性髄膜炎、難聴、膵炎を引き起こすことがあります。

【学校の出席停止について】
流行腺耳下腺炎は、第2種の感染症に指定されており、学校保健安全法で一定期間の出席停止が義務付けられています。
出席停止の期間は、耳の下や頬の腫れが出てから5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまでです。ただし、医師が感染のおそれがないと認めたときはこの限りではありません。

原因

流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスというウイルスに感染することが原因です。

診断と治療

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の診断

流行性耳下腺炎は、特徴的な症状が見られるため、頬の腫れなどを医師が確認して診断することが一般的です。
必要に応じて、ウイルスを特定するための検査を行うことがあります。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の治療

流行性耳下腺炎は、原因となるウイルスに対しての特効薬はないため、症状に合わせた処置をする対症療法が中心になります。
発熱や痛みがある場合には、解熱鎮痛剤などを服用して症状を和らげます。

予防

1歳になったらワクチン接種を

流行性耳下腺炎の予防は、ワクチンの接種(予防接種)が有効です。
予防接種は、1歳から受けることができます。1回目の数年後に2回目を受けることで免疫をしっかりつけることができます。
ただし、流行性耳下腺炎のワクチンは任意接種です。公費(無料)で受けられる定期接種ではありませんので、かかりつけ医に相談しましょう。

また、周囲で流行している時期には、手洗い・うがいの励行、マスクの着用をするようにしましょう。
子どもの手の届く範囲は、アルコール消毒で拭き掃除をすることも効果的です。

医療機関受診のポイント

頬の腫れや痛みなどが見られたら早めに受診を

流行性耳下腺炎が流行っている時期に同じような症状が見られた場合には注意が必要です。頬の腫れや痛みなどが見られたら、流行性耳下腺炎の可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。早めに受診することで、周囲への感染拡大を予防できます。

診察室で医師に伝えること

医療機関を受診する際は、以下の内容を医師に伝えましょう。
頬が膨らみはじめた時期
食欲の有無
水分の摂取量
発熱の有無
頭痛の有無

受診すべき診療科目

小児科
内科

15歳以上の方は、内科を受診しましょう。

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