症状
痰のからまない乾いた咳や息切れが続く
肺は、肺胞と呼ばれる房状の小さな袋が集まってできています。呼吸するとき、肺胞が伸びたり縮んだりすることで、酸素と二酸化炭素が交換されます。
間質性肺炎では、その周辺の壁や肺胞同士を埋めて固定している組織に炎症が起こることで、肺胞の壁が厚くなり、肺全体が硬くなります。その結果、肺がうまく膨らまなくなり、酸素と二酸化炭素の交換が難しくなります。
そのため、間質性肺炎では、慢性的に体内の酸素が不足している状態になります。
主な症状は以下のとおりです。
● 痰のからまない咳
● 息切れや呼吸困難
● ばち指(手足の指先が太鼓のばちのように丸みをおびる)
初期の段階では、息切れは階段を昇るときなどの動作時に感じる程度ですが、進行すると着替えなどの簡単な動作でも息切れして日常生活に支障をきたします。また、さらに進行すると、安静時にも呼吸が苦しいという状態になります。
原因
原因は様々だが、喫煙は大きな影響
間質性肺炎の原因は様々です。喫煙は大きな影響があるといわれています。
また、原因が特定できないものもあります。原因が特定できないものを特発性間質性肺炎といいます。
1) 原因が特定できる場合
● 膠原病
自己免疫異常により起こる病気が間質性肺炎を引き起こすことがあります。
膠原病には、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群などがあります。
● じん肺
空気中に浮遊する小さな土ぼこりや金属の粒などの無機物や鉱物性の粉じんを長期間吸い込むことで発症します。
粉じんが発生する環境で仕事をしている方に見られます。アスベストも粉じんの一種です。
● アレルギー性
ほこりやカビ、ペットの体毛などハウスダストを吸い込むことで発症します。
● 薬剤性
様々な薬剤でも発症します。総合感冒薬のような市販の医薬品や漢方薬、サプリメントなどの健康食品も原因になることがあります。
● 放射線
がんなどの病気に対して放射線を照射することで発症します。
2) 原因が特定できない場合
原因が不明なものは特発性間質性肺炎と呼ばれます。厚生労働省により難病に指定されています。
診断と治療
間質性肺炎の診断
間質性肺炎の診断は、症状の確認と、胸部レントゲン検査やCT検査などの画像検査で行います。
また、原因を特定したり、炎症の程度を確認するために血液検査を行います。
肺の組織を採取して調べることもあります。その場合は気管支内視鏡や胸腔鏡手術を行います。
間質性肺炎の治療
間質性肺炎は、原因が明らかな場合はその原因を取り除くことが治療の第一歩です。
また、喫煙者は禁煙を行うことが前提になります。
進行を抑えたり、症状を緩和するために以下の方法をとることもあります。
炎症によって硬くなった肺は、最終的に線維化し元の状態に戻すことができません。そのため、進行を抑えることが大切です。
● 薬物療法
免疫異常がある場合は、ステロイド剤や免疫抑制剤を投与し、肺の炎症を抑えます。
原因不明の特発性間質性肺炎では、肺の線維化を防ぐため、抗線維化剤を使用することがあります。
● 酸素療法
呼吸で十分な酸素を取り込めない場合には、低下した呼吸機能を補うために酸素療法を開始します。
日常生活で酸素を吸入する在宅酸素療法(HOT)を使用したり、必要に応じて呼吸リハビリテーションも行います。
予防
まずは禁煙をしましょう
間質性肺炎は、喫煙が影響していると考えられています。
病気を予防するためには、喫煙習慣のある方は、禁煙をするようにしましょう。
医療機関受診のポイント
乾いた咳や息切れが続く場合は早めに受診を
乾いた咳が続く、階段の昇り降りなどで息切れがするなどの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。すでに間質性肺炎と診断されている人は、風邪などの感染症をきっかけに、急激に症状が進行・悪化することがあります。症状が悪化していると感じた時には、すぐに受診してください。
診察室で医師に伝えること
診察の際は、以下のことを医師に伝えましょう。
● いつから症状が出現しているか、症状の程度
● 咳の種類(痰の有無)、息苦しさ、他の症状の有無
● 治療中の病気
● 使用中の薬の種類・薬の使用開始時期と期間、頻度
● 今までに肺の病気を指摘・治療されたことがある場合
● がんや膠原病と診断された場合
● 原因となる職業や環境の有無(仕事上で石綿を吸い込んでいる、農業、きのこ栽培、鳥の飼育、加湿器・空調機の使用など)
● 喫煙の有無
受診すべき診療科目
● 内科
● 呼吸器科