症状
ガスや便が腸にたまるため腹部膨満感などの症状がみられる
腸閉塞は、腸管がふさがって消化物が通りにくくなるため、消化液がたまり以下のような症状が見られます。
● 腹部膨満感
● 腹痛
● 吐き気
腸閉塞は腸がうまく機能していない状態になるため、ガスや便が出なくなります。
お腹が張って苦しいと感じたり、お腹の痛みを訴える人もいます。食べたものや飲んだものはお腹の中で停滞してしまうので、吐き気や嘔吐、食欲の低下といった症状も現れます。
腸管の血流障害を伴う場合、急に激しい痛みに襲われることがあります。腸管の壊死につながるおそれがあり、対応が遅れると生死に関わります。
原因
三大要因は、癒着・ヘルニア・大腸がん
腸閉塞の三大要因は、癒着、ヘルニア、大腸がんといわれています。もっとも多いのが手術後の腸の癒着によるものです。
腸閉塞は、その原因により以下に分類することができます。
1) 機械的閉塞 (機械的イレウス)
腸の通り道が何らかの原因で狭くなることで起こります。ヘルニアや過去の開腹手術などによる癒着が主な原因です。
機械的閉塞は、腸管の血流障害を伴わない単純性と、血流障害を伴う絞扼性(複雑性)に分類されます。それぞれの主な原因は以下のとおりです。
● 単純性閉塞
・開腹手術後に腸管が炎症を起こしたことによる癒着
・大腸がんなどの腫瘍や胆石などによる狭窄や閉塞 など
● 絞扼性(複雑性)閉塞
・ヘルニア(脱腸)
・腸が腸に入り込む腸重積
・腸が捻じれる腸捻転 など
2) 機能的閉塞 (機能的イレウス)
腸管そのものには異常がない(通り道が塞がっていない)のに、腸を動かす筋肉や神経などの異常により、蠕動運動が止まってしまった状態です。
機能的閉塞は、麻痺性と痙攣性に分類され、それぞれの主な原因は以下のとおりです。
● 麻痺性閉塞
・腹膜炎や開腹手術後の神経麻痺
・脳疾患
・免疫系や神経系の薬剤の影響
・ストレス など
● 痙攣性閉塞
・虫垂炎
・胆石や尿管結石
・腸管の損傷
・精神疾患 など
診断と治療
腸閉塞(イレウス)の診断
腸閉塞が疑われる場合は、腹部に聴診器をあて、腸に動きがあるかを確認します。
また、以下の検査を行って診断を行います。
● 血液検査
● 腹部レントゲン検査
● 超音波検査 (エコー検査)
● CT検査 など
腸閉塞(イレウス)の治療
腸閉塞の治療は、主に保存的療法と手術による治療があるます。
緊急性のない場合には保存的療法、血流障害を伴う絞扼性閉塞では手術治療が選択されます。
● 保存的療法
絶食をして点滴で栄養を摂るのが基本的な方法です。
症状がひどい場合には、鼻からチューブを入れ、詰まっている消化物を排出したり、たまっているガスを外に出したります。
(大腸が閉塞している場合は、肛門からイレウス管を入れます。)
● 手術による治療
血流障害を伴う絞扼性閉塞や、保存療法を行っても改善が見られない場合には手術を行います。
腸管のねじれや折れ曲がっている部分を修正したり、腫瘍などの除去などが行われます。
ただし、手術は癒着を起こす一因にもなるため、手術を行うかどうかは慎重な判断が必要です。
医療機関受診のポイント
便やガスが出ない、お腹が張るといった症状がある場合には早めに受診しましょう
診察室で医師に伝えること
受診の際には、まず自覚症状を詳しく伝えるようにします。
● いつから症状があるのか
● 症状の程度と変化
● 症状が始まる前に食べたもの
医師は、これらの情報をもとに必要な検査の選択と腸閉塞の診断を行っていきます。
受診すべき診療科目
● 内科
● 消化器科
● 小児科
腸閉塞では消化器症状が主なものとなるので、内科または消化器科を受診するようにします。
子供の場合にはまず小児科を受診しましょう。