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べんぴしょう 便秘症

3日以上便が出ない、残便感がある

診療科目

消化器科

からだの部位

腹部 食道・胃・腸

分類

消化器

症状

3日以上便が出ない、残便感がある

食べた物は食後24時間ほどで便として排泄されます。
3日以上便が出ない、便が出ても残っているような感じ(残便感)があれば便秘といえます。

便秘は、以下の4つに分類することができます。

1) 弛緩性便秘 (しかんせいべんぴ)
腸腰筋(ちょうようきん)という筋肉の力が低下し、食べ物を消化吸収して運ぶ蠕動運動(ぜんどううんどう)が弱くなることで便秘になります。
また、排便時にいきむときに使う筋肉の衰えも関係しています。
高齢者や出産後の女性に多く見られる便秘で、残便感や下腹部の膨満感などの症状が見られることもあります。

2) 痙攣性便秘 (けいれんせいべんぴ)
ストレスなどにより自律神経が乱れ、蠕動運動に影響が出ることで起こる便秘です。
蠕動運動は、筋肉の弛緩(ゆるむこと)と収縮を繰り返して、内容物を肛門の方へと送っています。痙攣性便秘では腸の一部で筋肉に痙攣が起きてしまい、収縮した状態が続き、内容物が進みにくくなります。
硬くコロコロした便が出たり、腹部に張りや痛みがある、便秘と下痢を交互に繰り返すなどの症状が見られます。

3) 直腸性便秘 (ちょくちょうせいべんぴ)
便が直腸(肛門の入り口)まではきているのに、便意が伝わらずに起こる便秘です。便意を我慢しがちな人に起こりやすいといわれています。
便で直腸が刺激されると、「トイレに行きたい」という便意のサインが出るしくみになっていますが、このサインが我慢するとやがて消えてしまいます。この我慢を繰り返すと、便意のサインが出にくくなります。

4) 器質性便秘 (きしつせいべんぴ)
ポリープ、腸閉塞、大腸がんなどにより消化管が狭くなり、腸の通りが悪くなることで起こる便秘です。
血便や激しい腹痛、嘔吐などの症状が見られることもあり、治療が必要です。

原因

便秘の多くは生活習慣が原因に

便秘にはさまざまな種類があるように、便秘の原因についてもさまざまです。
よくある便秘は、以下のとおり、生活習慣が原因になっていることが多くあります。

食物繊維の不足
水分不足
ストレス
ダイエット

その他、薬の副作用で便秘になることもあります。もともと便秘がちな方は、薬を処方される際に薬剤師に確認するようにしましょう。

診断と治療

便秘の診断

便秘の診断は、問診と触診で腹部の状態を確認して行います。
必要に応じて、X線検査などで便が腸にたまっているかどうかを調べます。
また、大腸内視鏡検査で大腸がんなどの病気がないかどうかを確認することもあります。

便秘の治療

大腸の病気が原因となる器質性便秘以外の便秘では、生活習慣の改善が治療の基本です。
下剤や整腸剤など、いわゆる便秘薬が市販されていますが、薬が合わない場合は多用せず医療機関を受診しましょう。

1) 食生活の改善ポイント
水分を摂取しましょう。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を摂取するようにしましょう。
 ー水溶性食物繊維: 海藻類、イモ類、果物類、大豆などに多く含まれる
 ー不溶性食物繊維: 穀類、野菜、豆類、大豆などに多く含まれる

2) 生活環境の改善ポイント
早寝早起きを心がけ生活リズムを整えましょう。
起床後、トイレに行く習慣をつけましょう。

予防

食物繊維や水分を十分に摂取しましょう

便秘を予防するためには、食物繊維や水分を十分に摂取することが大切です。
食生活の改善や適度な運動、排便の習慣をつくる、ストレスをためないようにする、なども便秘の予防になります。

医療機関受診のポイント

生活習慣の改善などでも改善しない便秘は医療機関の受診を

3日以上排便がない、お腹が張って苦しい、いつもは排便が定期的にあるのに何かいつもと違う、と思ったときには医療機関を受診してみましょう。
生活習慣を改善してもつづくような便秘の場合も、他の病気が隠れている可能性もあるので、我慢せずに医療機関を受診してください。

診察室で医師に伝えること

医療機関を受診する際には、以下のようなことを医師に伝えましょう。
数日間の排便の状況について
その症状はいつ頃から起こっているのか
食生活、睡眠状況、ストレスを抱えているかなどの日常生活について
既往歴、現在飲んでいる

受診すべき診療科目

消化器科

べんぴしょう 便秘症