メディカルウェブ事典

こうねんきしょうがい 更年期障害

閉経前後に起こる身体的・精神的不調の総称

診療科目

婦人科

からだの部位

全身

分類

婦人科

症状

症状とその程度まで個人差が大きく日常生活に支障が出ることも

更年期障害では様々な症状があらわれます。
以下は代表的な症状で、すべての人にすべての症状が見られるわけではありません。また症状の程度も、軽い場合から日常生活に支障が出る場合まで個人差が大きいです。

1) 自律神経症状
ホットフラッシュという突然のほてりやのぼせを感じる方もいれば、それとは逆に身体の冷えを感じる方もいます。
ほてりやのぼせ (ホットフラッシュ)
発汗
動悸や胸の痛み
めまい
疲れやすさ
手足が冷たくなる
寒気がする
腰痛や関節痛、肩こり など

2) 精神神経症状
イライラする
怒りっぽくなる
気分の波が激しい
不安感や抑うつ感
不眠
集中力の低下
無気力になる など

3) その他
以下のような症状があわられる場合もあります。
胃の不快感
食欲不振
皮膚のかゆみ
膣の乾燥や萎縮 など

膣内の粘液が少なくなることで膣が乾燥したり、萎縮したりすることで、性交渉で痛みを伴うことが多くなります。そのためパートナーとの関係にも影響を及ぼすことが少なくありません。

原因

エストロゲンが減少してホルモンバランスが崩れる

更年期障害の原因は、ホルモンバランスの変化です。
閉経前後の更年期では、女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の量が減少し、月経周期が次第に不規則になります。
月経周期は排卵を境に、排卵より前の時期を卵胞期、排卵後の時期を黄体期といいます。更年期の月経周期の乱れは、卵胞期が長くなったり、短くなったりすることで不規則になります。やがて月経の間隔が空くようになり、一般的には12ヶ月以上月経がなかったときに閉経となります。
この時期はホルモンバランスの変化が大きく、自律神経に影響が出やすいため、様々な症状があらわれます。ホルモン分泌と自律神経、免疫機能はどれも脳の下垂体という部分が司っているため、ホルモンに異常が起こると、ほかの働きにも影響を与えやすいと考えられています。

また、心理的な要因も影響すると考えられています。
更年期は、人生の中でもライフイベントが多い時期で、子どもの自立や夫の定年、また親の介護などがあります。このような役割や環境の変化なども心理的ストレスとなり、更年期障害に影響すると考えられています。

診断と治療

更年期障害の診断

月経周期や症状について問診を行います。
更年期障害では様々な症状があらわれるため、詳しく症状を聞き取ります。必要に応じて検査を行い、ほかの病気ではないことを確認した上で更年期障害と診断します。

更年期障害の場合、エストロゲンの1つであるエストラディオール(E2)の値が低く、エストロゲンの分泌を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)が高くなるのが一般的ですが、それぞれのホルモン値は、更年期障害の診断基準としては明確に定められていません。

更年期障害の治療

症状やその程度、患者さんの希望に応じて、治療法を選択します。

1) 薬物療法
ホルモン補充療法(HRT)
更年期障害の主な原因とされるエストロゲン(卵胞ホルモン)を補い、更年期症状の緩和をはかる治療法です。

漢方薬

向精神薬
うつ・不安・不眠などの精神症状が強い場合には、それぞれの症状に合わせて抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬などを使用することもあります。

2) 心理療法
更年期障害には家庭内や仕事上の環境変化などが影響していることも多いです。そのため、医師が心理面への働きかけをするだけでなく、必要に応じて心理士によるカウンセンリングや認知行動療法を行うこともあります。

3) 生活指導
更年期は、自律神経のバランスが乱れやすい状態であるため、食事や睡眠に注意して規則正しい生活を送り、身体のバランスを整えることが必要です。

医療機関受診のポイント

診察室で医師に伝えること

更年期障害は様々な症状が現れるため、何から話せばよいのかと悩んでしまう方も多いです。すべての症状をうまく話そうとする必要はありません。主な症状を伝えたり、事前にメモを用意しておくとよいでしょう。

いつから、どのような症状があるのか
月経周期(または閉経を迎えたか)
治療中、あるいは過去に治療した病気について
現在の症状について他の科を受診したか
最近起きた大きな出来事(子どもの結婚、家族の病気、仕事のストレス、親の介護など)

受診すべき診療科目

婦人科

こうねんきしょうがい 更年期障害