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やせ やせ

BMI18.5未満で体重減少が著しい

からだの部位

全身

分類

症状

極端に脂肪が少ないために身体に様々な支障が出る

やせは脂肪が極端に少なくなる状態です。
脂肪には、エネルギーの貯蔵のほかに様々な役割があり、多すぎても少なすぎても身体にはよくありません。

【脂肪の役割】
エネルギーの貯蔵
体温の維持
ホルモンの調節
細胞へのビタミンの運搬
内蔵を正常な位置に保つ など

したがって、身体に十分な脂肪がないと、次のような症状を引き起こすおそれがあります。
外気温の変化に弱くなる
ホルモンバランスが崩れ、月経不順・無月経・無排卵などを引き起こす
ビタミン不足で抵抗力が弱まり、風邪を引きやすくなる
内蔵を支える脂肪がないため、胃下垂になりやすい

深刻なケースでは、栄養失調により血液中の糖分が不足し、疲労感が強くあらわれたり、脳の働きが低下したりします。
また、少ない栄養で生き抜くために、心拍数が低下して心不全に至ることもあります。

原因

消化器などの異常から心の問題まで原因は様々

やせの原因は様々で、次のような異常がきっかけとなっていることが多くあります。

1) 代謝や内分泌の異常
ホルモンの分泌や働きがうまくいかず、代謝が促進して体重が減少したりします。
以下のような病気が原因になっていることが考えられます。
糖尿病
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症) など

2) 消化器官の異常
消化器の炎症によって痛みや吐き気、嘔吐、食欲不振などの症状が現れたり、吸収障害によって、体重が減少します。
以下のような病気が原因になっていることが考えられます。
胃がん
慢性胃腸炎
吸収不良症候群
潰瘍性大腸炎
過敏性腸症候群 など

3) 心の病気
食欲が減退して食事量が減ったり、ダイエット願望から食事を拒否したりすることで、体重が減少します。
以下のような病気が原因になっていることが考えられます。
摂食障害
拒食症
うつ病  など

他にも、がんや肺結核などの病気でも体重減少が見られることがあります。
がん細胞は、普通の細胞よりも速いスピードで増殖し、多くのエネルギーを消費するため、食事量を減らさなくても体重は徐々に減少していきます。

診断と治療

やせの診断

体重と身長から算出するBMIという肥満指数から判断します。

BMI:[体重(kg)/身長(m)]の2乗
BMIの結果が25以上で肥満となります。

かつ、以下のどちらかにあてはまると病的なやせ「るい痩(るいそう)」と診断されます。
標準体重を20%以上下回っている
6ヶ月以内に10%以上の体重減少がある

やせの状態を確認した上で、やせを引き起こしている原因をしらべるために以下のような検査を行うことがあります。
尿検査
血液検査
画像検査(レントゲンや超音波検査)

また、ダイエット願望が強い場合、どのような食生活を送っているのか、ダイエットに対する考え方や理想とするボディイメージなどについての問診を行うことも大切になってきます。

やせの治療

やせの治療では、やせの原因となっている疾患を治療することが第一原則です。
原因疾患のコントロールが上手くいくことで、体重減少と結びついている症状の緩和が進み、やせの改善につながります。

ダイエット願望からくるやせの場合、患者本人が危機感を抱いて医療機関を受診するケースは少ないため、家族と専門家とが連携しながら治療にあたる必要があります。まずは、間違った食生活や身体のイメージを直すことから取り組まなければなりません。

予防

栄養分を効率良く吸収でき土台づくりが大切

健康的な生活習慣があれば、必ずしもやせを起こさないということではありませんが、以下のような点に気をつけて、栄養分を効率よく吸収できる土台づくりは大切です。

1) 食生活について
規則正しい食生活を意識する
決まった時間に食事をして、リズムよく生活することは、胃腸の調子を整えることにつながります。

バランスの良い食事をする
身体が調子良く活動するためには、バランスの良い食事が欠かせません。
偏った食事にならないように、さまざまな食材を摂るように意識しましょう。

早食いを改める
早食いは栄養分をきちんと吸収できないことがあります。
よく噛んでゆっくり食べることが消化吸収の助けになります。

2) 日常生活について
睡眠時間をしっかり確保する
睡眠で毎日の疲れをしっかり回復させることが大切です。

ストレスをため過ぎない
ストレスと胃腸の関係は深く、ストレスをコントロールすることは健全な食欲を保つためにも大切です。

適度な運動習慣を持つ
運動習慣を持つことは内臓の調子を整えることにつながります。適度に身体が疲れることで、質の良い睡眠や食欲の増加にも効果的です。

医療機関受診のポイント

食べているのに体重が減る場合は早めに受診を

食欲不振が続き体重が減少したり、食事をきちんと取っているのに体重が減る場合には、何らかの病気が原因になっている場合があります。早めに医療機関を受診しましょう。

診察室で医師に伝えること

以下のようなことを医師に伝えましょう。
現在の自分の体重と身長
いつ頃から体重の減少が起こり始めたか
女性の場合、月経に異常はないか
自覚している症状はあるか
具体的にどのような食事をしているか(1週間程度メモをして持参してもよいでしょう)

受診すべき診療科目

内科
心療内科

原因が不明な場合はまずは内科を、過度なダイエットからの摂食障害など心の問題が考えられる場合は心療内科を受診しましょう。

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