メディカルウェブ事典

ひまん 肥満

身体に過剰な脂肪が蓄積された状態

からだの部位

全身

症状

最近、体重が増えた、身体が重く動きが鈍いなどの自覚があれば要注意

「最近、太ってきた」「身体の動きが鈍くなってきた」という自覚があるときは要注意です。
肥満による以下のような二次的な症状が見られる場合があります。
膝や腰などの関節痛
息切れ
いびきや睡眠時無呼吸

また、肥満により以下の病気が起こりやすくなります。
2型糖尿病
脂質異常症
高血圧
高尿酸血症・痛風
睡眠時無呼吸症候群
心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
脳卒中(脳梗塞、脳血栓症など)
関節症
月経異常          など

原因

肥満の大半は食べ過ぎと運動不足によるエネルギー過多

肥満には、原因によって単純性肥満と症候性肥満の2つがあります。

1) 単純性肥満
肥満の大半は、単純性肥満です。主な原因は食べ過ぎと運動不足です。
身体で消費されるエネルギー以上のエネルギーを摂取し続けた結果、身体に過剰な脂肪が蓄積されて肥満になります。
また、加齢によりホルモンバランスが変化したり、代謝が衰えたりすることで、食生活や運動量に変化がなくても肥満になりやすくなります。

2) 症候性肥満
甲状腺機能低下症など、ほかの病気や、薬の副作用が原因で肥満になります。

診断と治療

肥満の診断

肥満の診断では、体重と身長から算出するBMIという肥満指数、また、腹囲の計測結果から判断します。

BMI:[体重(kg)/身長(m)]の2乗
BMIの結果が25以上で肥満となります。

腹囲:
立って軽く息を吐いた状態でウエストを測定します。男性85cm以上、女性90cm以上で内臓脂肪型の肥満となります。


肥満そのものは、身体に過剰な脂肪が蓄積された異常な状態ではありますが、それだけでは病気ではありません。
肥満に加え、以下の10症状を合併していれば「肥満症」と診断され、治療対象となります。
2型糖尿病
脂質代謝異常(高脂血症)
高血圧
高尿酸血症、痛風
冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症
脳梗塞、脳血栓症、一過性脳虚血発作
睡眠時無呼吸症候群、Pickwick症候群
脂肪肝
整形外科的疾患、変形性関節症、腰椎症
月経異常

肥満の治療

肥満、および、肥満症の治療の原則は、ダイエットです。
以下3つの方法で、個人の状況に応じて多角的にアプローチします。

食事療法
栄養バランスと摂取エネルギー、摂取時間を管理することで、体重と脂肪の量を減らします。

運動療法
有酸素運動を中心とした運動を行うことで、内臓脂肪を減少させます。

行動療法
食事量や運動量、体重を患者自身が毎日記録することで、自分自身で治療に取り組む意欲を継続することができます。


上記に加えて、BMI35以上の高度肥満では、食欲抑制剤による薬物療法を行うことがあります。
また、胃縫縮手術で胃を小さくして摂食量を抑制するなど、外科的な処置が必要となる場合もあります。

肥満の治療では、医学的なアプローチの効果よりも、生活習慣の改善など患者自身の取り組みにより結果が左右されます。
生活習慣と健康診断などの結果をチェックし、少しでも異常があれば毎日の生活を見直し・改善する意欲が大切です。

予防

食べ過ぎ・飲み過ぎに注意!

肥満の予防には、適度な運動と栄養バランスのとれた規則正しい食事が欠かせません。
お酒の飲みすぎや、間食の習慣、不規則な生活などの生活習慣の乱れを改善することも大切です。
BMIを意識し、日頃からこまめに体重を量って管理することも肥満の予防になります。

医療機関受診のポイント

「最近、身体が重くなった」など太ってきた自覚があり、膝痛や腰痛などそれに伴う症状がある場合、症状がひどくなる前に受診しましょう。

診察室で医師に伝えること

過去数年の体重の増減
食事、運動などの生活習慣について
膝痛など骨筋肉系の痛みや、いびきなど呼吸器系の不安要素
家族内での肥満の有無
過去の受診歴(お薬手帳を持参)
喫煙、飲酒歴

受診すべき診療科目

内科
代謝内分泌科

ひまん 肥満

からだの部位

全身