症状
けいれんや意識障害など重症化することも
日本救急医学会では、熱中症を軽症のI度から重症のIII度までに分類しています。
分類と症状をまとめると次のようになります。
1) I度(軽症)
● めまい
● 体のほてり
● こむら返り、筋肉のけいれん
● 大量の汗 など
2) II度(中等症)
● 吐き気や嘔吐
● だるさ、脱力感
● 頭痛
● 集中力や判断力の低下
3) III度(重症)
● 汗が出なくなる
● けいれん
● 意識障害
重症になると、肝臓や腎臓の機能などにも障害が及びます。時に、命にも関わるため、早急な処置が重要です。
原因
高温多湿な環境下で体温調節機能が狂い、脱水になることで発症
熱中症は、高温多湿の環境にいることで体温を調節する機能が狂ったり、脱水になることで起こります。
熱中症を引き起こす様々な要因が組み合わさって発症します。
1) 環境要因
● 気温や湿度が高い
● 風がない
● 日差しが強い
● アスファルト等からの放射熱が強い など
2) 身体の要因
● 運動や労働で体内に熱がたまる
● 疲れや寝不足、低栄養状態で体調が悪い など
以下の方は、熱中症の発症リスクが高いため、特に注意が必要です。
● 子ども
● 高齢者
● スポーツをする人
● 屋外で労働する人
● 火を使う仕事をする人
● 心疾患や精神疾患のある人
診断と治療
熱中症の診断
熱中症の診断では、問診で自覚症状を確認しながら、呼吸、脈拍、体温を測定します。
血液検査を行い、脱水により、肝機能、腎機能、血液凝固機能が低下していないかを確認し、重症度を調べます。
熱中症の治療
熱中症は、身体を冷やすことと脱水状態を改善することが重要です。
1) 熱中症の疑いがある場合は、速やかに以下の処置を行ってください。
● 涼しい場所で身体を冷やす
● 衣服を脱がせて放熱しやすいようにする
● 経口補水液を摂取する
※意識がない、自分で水分補給ができない場合は、無理に水分を飲ませようとしない
2) 医療機関で行う処置は以下のとおりです。
● 自分で水分補給できない場合は輸液(点滴)を行う
● 高体温であれば冷却ゲルパッドや冷却式ブランケット等で体温を下げる
重症の場合は入院治療になります。
予防
室内での熱中症対策も忘れずに!
熱中症は、対策をとることで予防できます。
子どもや高齢者は熱中症になりやすいため、周囲の人がこまめに声がけするようにしてください。
● こまめに水分補給をする
● 塩分も適切に摂取する
● 睡眠や栄養を十分にとる
● 吸水性・通気性のよい衣服を選ぶ
● 天気予報などで熱中症情報をチェックする
<屋外での対策>
● 帽子や日傘で直射日光をさえぎる
● 飲み物を持ち歩く
<室内の対策>
● 部屋の気温・湿度を測る
● エアコンを上手に活用する
● 部屋の風通しをよくする
● すだれやカーテンで日差しをさえぎる
<運動や労働中の対策>
● こまめに休憩をとる(30分に一度が目安)
医療機関受診のポイント
自分で水分補給ができない、意識障害あるときは速やかに救急車を要請
暑い日にめまいや吐き気、手足がつったりするような症状がみられた時は、熱中症にかかっている可能性があります。
熱中症は、その時は大丈夫だと思っても急に悪化することもあります。できるだけ誰かに付き添ってもらい、医療機関を受診するようにしましょう。
吐き気や嘔吐があり水分摂取ができない、一人で歩けない、意識障害があるときには、速やかに救急車を要請してください。
診察室で医師に伝えること
受診する時は、次のことを医師に伝えるようにします。
意識がはっきりしない、明らかな意識障害がある場合は、付き添いの方が状態を伝えるようにします。
● いつ頃から症状が出たか
● どのような症状があるか、症状の変化はあるか
● その日の行動、過ごしていた場所
● 水分を摂っていたかどうか
● 過去にかかった病気や現在治療中の病気(あれば)
受診すべき診療科目
● 内科
● 小児科
● 救急外来
熱中症の疑いがあり、症状が軽い場合は、内科や小児科を受診しましょう。
嘔吐やめまいがひどく、自分で水分補給できない場合は、救急外来を受診してください。