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ぎつうふう 偽痛風

偽痛風は痛風とよく似た症状が出る関節炎

診療科目

内科 整形外科

からだの部位

四肢 骨・関節

症状

関節の痛み・腫れ・赤みなど痛風によく似ている

偽痛風の典型的な症状は、何の前ぶれもなく起こる関節の痛みと腫れ、発赤(赤み)です。
偽痛風で一番多く症状が出るのは膝の関節です。次いで、手・足の関節などに見られます。股関節や脊椎(せきつい)の関節に出ることもあります。

関節の症状と同時に、以下の全身症状が起こることも少なくありません。
38度以上の発熱
体重減少
めまい
幻覚

【痛風との違い】
痛風と症状が似ていることから「偽痛風」と呼ばれていますが、偽痛風では以下の点が特徴的です。
前駆症状がない(前駆症状=発作が起こる前の前ぶれとなる症状)
症状が出る関節が膝・手・足である(痛風は親指のつけ根)
高齢者に多い病気で、患者に男女差はない(痛風は男性が多い)

原因

関節内にピロリン酸カルシウムの結晶が沈着

偽痛風は、関節内にピロリン酸カルシウムの結晶が沈着することで起こります。
なぜ関節内にピロリン酸カルシウムの結晶ができるのかについては、今のところわかっていません。また、ピロリン酸カルシウムの結晶の沈着が見られる方すべてが偽痛風の発作を起こすわけではなく、症状が出るのは25%程度といわれています。

高齢者に多い病気であることから、加齢も1つの要因と考えられています。
55歳以下の若年者に偽痛風が起こることは稀です。若年者に偽痛風の発作が起こった場合、副甲状腺機能亢進症や低マグネシウム・低リン血症、ヘモクロマトーシスなどの代謝性疾患が隠れていることがほとんどです。

また、手術や怪我などの外傷をきっかけとして発症することがあります。
さらに、数は少ないですが、遺伝によって起こることがあるとされています。この場合は若いうちから、そして1つの関節だけではなく複数の関節に同時に、偽痛風の発作が起こります。

診断と治療

偽痛風の診断

偽痛風は症状が典型的であるため、まずは問診により確認します。
確定診断を行うには、関節から針で関節液を抜き調べる検査を行います。関節液にピロリン酸カルシウムの結晶があることを確認します。

その他に以下の検査を行う場合があります。

レントゲン検査
関節破壊がないかを確認します。

血液検査
痛風や関節リウマチなどと区別するために行います。痛風であれば尿酸が上昇し、リウマチであればリウマトイド因子や抗核抗体などの値の上昇が見られるため、偽痛風と区別することができます。

偽痛風の治療

偽痛風の治療には、保存的治療と外科的治療があります。ほとんどの場合、保存的治療により1週間ほどで症状は軽快します。
症状が良くならない、再発を繰り返す場合などには外科的治療が選択されることもありますが、稀なケースです。

1) 保存的治療
原因となっているピロリン酸カルシウムの結晶を溶かす治療方法はありません。
そのため、症状を和らげることが保存的療法の目的になります。
関節を動かさず安静にする
冷湿布などで冷やす
非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)を内服する  など

2) 外科的治療
稀に関節内のピロリン酸カルシウムの結晶の塊を取り出す手術が行われることがあります。
関節の破壊の程度が重症である場合には、人工関節置換術が行われます。

医療機関受診のポイント

関節に急に痛みが出たら、医療機関を受診しましょう。

診察室で医師に伝えること

医療機関を受診する際は、以下の内容を医師に伝えましょう。
いつから痛みがあるのか
身体のどの部位が痛いのか
発熱などの症状があるかどうか
現在治療を受けている病気や薬を処方されている病気があるかどうか

受診すべき診療科目

整形外科
内科

ぎつうふう 偽痛風