症状
腰の痛みだけでなく腰から下肢にしびれが出ることも
腰痛とは、腰からお尻にかけての痛みの総称です。下肢に痛みやしびれが出ることもあります。
● 急性腰痛症
痛みがかなり強いのが特徴です。
そのため、運動に制限がかかり、前後に腰を曲げることすら難しくなります。
●慢性腰痛症
痛みは急性腰痛症に比べ、そこまでひどくはなく、日常生活に対する制限はそれほどありません。
動くことは可能であるものの、腰全体に重くだるい感じを訴える人が多いです。
原因
急性腰痛症・慢性腰痛症ともに原因は様々
腰痛症の原因は様々です。
● 内蔵性腰痛
内蔵器疾患に由来するもの
例) 尿路結石、胆嚢炎、胆石症 など
● 血管性腰痛
大動脈や末梢血管に由来するもの
例) 腹部大動脈瘤 など
● 脊椎性腰痛
脊柱やその関連組織に由来する腰痛
例)
・急性腰痛:腰部椎間板断裂、腰部椎間関節症、腰椎圧迫骨折 など
・慢性腰痛:腰部椎間板ヘルニア、側弯症、腰椎分離症・すべり症、腰部脊柱管狭窄症 など
● 神経性腰痛
神経に由来するもの
例) 神経腫瘍 など
● 心因性腰痛
例) うつ病、不安神経症 など
診断と治療
腰痛症の診断
基本的には問診、診察をし、必要と判断されたらレントゲン(X線)検査、MRI、骨シンチ、筋電図検査、血液検査、尿検査を行うこととなります。
診断によって治療法は異なること、整形外科分野ではない腰痛の可能性もあるため、特に問診は綿密に行います。
腰痛症の治療
治療方法は原因によって異なります。原因がわかっている場合は、その治療を優先します。
腰痛の症状を緩和する目的では、症状に応じて以下の治療が行われます。
● 薬物療法
痛みやしびれを緩和するために内服薬を使用します。
● 装具療法
コルセットを装着して腰に負荷を掛けないようにします。
● 神経ブロック
腰部椎間関節や腰部硬膜外に局所麻酔薬を注入して痛みを和らげる方法です。
一時的に痛みは解消されますが、効果は永続的ではありません。
予防
腰痛予防には正しい姿勢と適度な運動
腰痛を予防するためには、無理な姿勢などで腰に負担をかけないこと、また、筋肉をほぐすことが大切です。
予防のポイントは以下のとおりです。
● 常に正しい姿勢を心がける
● 膝より下にある重いものを腰を曲げて取らない
● 適正体重を維持する(肥満だけでなく痩せすぎも腰に負荷がかかります。)
● ストレッチなどの適度な運動をする
医療機関受診のポイント
日常生活に支障のある腰痛は、早めの受診を
急激な痛みが出た場合、または、痛みが長引く場合には、医療機関を受診しましょう。動きに制限がかかるほど痛みがつらい場合には、安全のため家族などに付き添ってもらうようにしましょう。
診察室で医師に伝えること
腰痛で医療機関を受診した際は、以下のことを伝えましょう。
● いつから痛むか
● 痛みが生じるにあたり何かきっかけはあったか
● どのくらい痛いか
(医師や看護師は疼痛スケールという指標を用いて痛みを判断します。すごく痛いのを数字の5として、0~5段階で自分の痛みを評価して伝えると分かりやすいです)
● 痺れはないか、痺れがあればいつからどのあたりが痺れるか
● どんな動きなら可能か
● 痛み止めなど薬を飲んだか。飲んでいればその種類と効果
● 手のひらや足の裏などの知覚はあるか
受診すべき診療科目
● 整形外科
医師が他の診療科目での受診が必要と判断した場合は、整形外科で紹介状を作成してもらい受診する流れになります。