症状
足のつけ根の痛みから股関節の動作制限に進行
● 痛み
初期の段階では、動き始めや歩いているときに足のつけ根に痛みを感じます。
進行すると、安静時でも痛みが続くようになり、就寝中も痛みを感じることもあります。
● 股関節の動きの制限
股関節を大きく曲げる動きができにくくなります。
靴下を履く、足の爪切り、しゃがみ込むなどの日常生活の動作が困難になります。
原因
加齢や肥満が原因に
変形性股関節症の原因は、一次性と二次性の2つに分けられます。
1) 一次性の原因
一次性はほかの病気が原因ではないもの(またはわかっていないもの)をいいます。
以下の要因で、変形性股関節症になると考えられています。
● 加齢
● 肥満
● 重量物の取扱作業 など
2) 二次性の原因
ほかの病気やケガなどを原因とするものです。
生まれながらの発育不全や、幼少時の病気によるものが影響するといわれています。
例)
● 発育性股関節形成不全
● 臼蓋形成不全 など
診断と治療
変形性股関節症の診断
股関節の痛みや、動きの範囲を診察し、次のような検査を行うことで診断します。
● レントゲン検査
骨盤の形や、大腿骨骨頭の形を調べます。
● CT検査
レントゲンでは得られない輪切りの画像によって、患部をより詳しく調べることができます。
● MRI検査
レントゲンやCTでは映らない、軟骨の様子も知ることができます。
変形性股関節症の治療
変形性股関節症の治療は、基本的に保存療法を行います。
進行しており、保存療法では改善されない場合には手術を行います。
1) 保存療法
● 日常生活の指導
股関節への負荷を軽減することが目的です。
肥満の方は減量をし、正座や階段の上り下りなど負荷のかかる動作を避けます。杖を使用する場合もあります。
● 運動療法
股関節周辺の筋肉を鍛え、関節の安定性を改善することが目的です。
筋肉トレーニングや水中歩行などを行います。
● 装具療法
股関節の動きを制限・固定することで、痛みを軽減することが目的です。
骨盤から太ももにかけてのサポーターのようなものを装用します。
● 薬物療法
痛みの症状を改善することが目的です。
内服薬や外用薬で痛みや炎症をコントロールします。
2) 手術療法
保存療法で改善がみられない場合や進行している場合には、手術治療を行います。
重症化している場合は、股関節を人工の股関節に置き換える人工股関節置換術が行われます。
予防
変形性股関節症は、肥満も原因となるため、適正体重を維持することが予防につながります。
適度な運動で、筋力低下を防ぐことも有効です。
医療機関受診のポイント
股関節に痛みを感じて日常動作に支障が出るときは、医療機関を受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
医療機関を受診する際は、以下を医師に伝えましょう。
● いつ頃から痛みがあるか
● どんな時に痛みを感じるか
● 動かしにくさなど、痛み以外の症状の有無と程度
● かかったことのある病気
● 内服している薬
受診すべき診療科目
● 整形外科