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ぜんりつせんがん 前立腺がん

男性特有の器官「前立腺」にできるがん

診療科目

腎・泌尿器

からだの部位

腎・泌尿器

症状

早期の段階では自覚症状がない

前立腺がんは、早期の段階では自覚症状がないことが多いです。
がんが進行するスピードも比較的ゆっくりであるため、症状が出るようになるまで時間もかかります。

進行すると前立腺が肥大することで、排尿トラブルがあらわれます。主な症状が以下のとおりです。
尿の出が悪い
残尿感がある
排尿の回数が多い(頻尿)
就寝中に尿意で何度も目が覚める(夜間頻尿) など

原因

前立腺がんは、前立腺内で細胞が異常に増殖することで生じますが、明確な原因はわかっていません。
60歳を超えると年齢とともに、前立腺がんの患者さんは増えていきます。また、家族に前立腺がんの人がいる場合、発生リスクが高いということがわかっています。
喫煙や飲酒、食生活も関係していると考えられていますが、明確な関係はわかっていません。

診断と治療

前立腺がんの診断

前立腺がんの診断では、以下の検査を行います。

1) PSA検査(血液検査)
健康診断で一般的に行われる検査です。採血をして、PSAという腫瘍マーカーの値を調べます。
がんや炎症により前立腺の細胞が壊れると、PSAの値が高くなります。
※PSA検査は、前立腺がん、前立腺炎、前立腺肥大症で結果に異常が出ます。すべてが前立腺がんというわけではありません。

2) 直腸診
PSA検査で異常が見られたら、直腸から前立腺の状態を確認する検査を行います。
肛門から指を入れて腸の壁越しに確認する方法と、超音波を発する器具を肛門から挿入する経直腸エコーという方法があります。

3) 前立腺生検
前立腺がんと確定するために必要な検査です。
超音波で前立腺の場所を確認しながら、直接針を刺して組織を採取します。その組織を調べることで確定診断となります。

4) 画像検査
リンパ節や他の臓器に転移がないか調べるために行います。
CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィなど、必要に応じて検査を行います。

前立腺がんの治療

前立腺がんの治療は、ホルモン療法、手術療法、放射線療法が基本となります。
治療方法は、がんの進行度(ステージ)と患者さん本人の意向を確認しながら選択します。

ホルモン療法
男性ホルモンの働きを抑えることで、前立腺がんの成長を抑制、縮小させることを目的とした治療です。
薬剤(LH-RHアナログ)により男性ホルモンの生産を抑える方法、女性ホルモンや抗男性ホルモン薬による方法、精巣を摘出する方法などがあります。

手術療法
前立腺と精のう、リンパ節を摘出する手術を行います。
開腹手術や腹腔鏡手術の他、最近では、医師がロボットを操作して行う手術(ダビンチ手術)も増えています。

放射線療法
放射線でがん細胞を死滅させる治療を行います。治療初期から転移がある前立腺がんまで幅広く用いられる治療です。
身体の外側から照射する外照射と、前立腺内に微量の放射線を発するカプセルを留置する、または一時的に前立腺内に針を挿入して照射する組織内照射があります。

この他、ホルモン療法の効果がなくなった前立腺がんでは化学療法(抗がん剤治療)などを行うことがあります。

予防

50歳以上の男性は定期的にPSA検査を

前立腺がんは、明確な原因がわかっていないため、がんそのものを予防することはできません。
しかし、PSA検査を定期的に受けることで、万が一、前立腺がんになっても早期発見・早期治療をすることができます。
50歳以上の男性や前立腺がんになった家族がいる方は、年に一度は検査を受けるようにしましょう。

医療機関受診のポイント

健康診断でPSA値が異常だった場合は早めに二次検診を

尿が出にくい、キレが悪い、残尿感があるなどの排尿トラブルは、前立腺肥大、前立腺がんの可能性があります。早めに医療機関を受診してください。また、健康診断の結果、PSA値が高いといわれた方も早めに二次検診を受けるようにしましょう。

診察室で医師に伝えること

診察の際は、以下を医師に伝えましょう。

いつ頃からどのような症状があるか
家族(親・兄弟)に前立腺がんだった人はいるか
前立腺肥大症と診断されたことはあるか
健康診断結果(あれば)

受診すべき診療科目

泌尿器科

ぜんりつせんがん 前立腺がん