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だいちょうぽりーぷ 大腸ポリープ

大腸にできるイボ状の突起物の総称

診療科目

内科 消化器科

からだの部位

腹部 食道・胃・腸

分類

消化器

症状

自覚症状はほとんどない

大腸ポリープには自覚症状はほとんどありません。
ポリープがある程度の大きさになると、便が細くなったり血が混ざったりしますが、なかなか自分では気づきにくいものです。
企業や自治体の便潜血検査で出血反応(陽性)があり、二次検診で大腸にポリープがあることがわかるというのが一般的です。

原因

高脂肪・低繊維食の食生活が大きな影響を

大腸ポリープの原因として考えられているのが、食生活と遺伝子です。

食生活
日本人の食生活は、元来、穀物や野菜が中心で脂肪分が少なく、食物繊維の多いものでした。そのため、大腸ポリープが発生する確率は低いとされてきました。しかし、食生活が欧米化するにつれ、大腸ポリープの発生も増えています。脂肪分が多く、食物繊維の少ない食生活は便秘になりやすく、大腸ポリープの原因と考えられています。
また、肥満傾向の人は、腺腫(良性の腫瘍)が生じやすいことがわかっており、肥満と大腸ポリープの関係についての研究も進められています。

遺伝子
いくつかの遺伝子も大腸ポリープに関係していることがわかっています。
大腸ポリープができやすい体質を先天的に遺伝している場合、発がん性物質や放射線などによって遺伝子に異常が生じ、ポリープ形成につながります。

また、非常に稀ですが、家族性大腸腺腫症という遺伝する病気があります。家族間において大腸ポリープが多発し、若いうちから大腸がんになるというもので、1〜2万人に1人という珍しい病気です。

診断と治療

大腸ポリープの診断

良性
悪性(大腸がん)

大腸ポリープは、健康診断での便潜血検査が一次検診となり、陽性だった場合は大腸内視鏡検査による二次検診で発見というのが一般的です。

内視鏡検査でポリープが見つかった場合は、そのまま切除まで行い、切除した組織を病理検査してポリープの種類を判別します。
ポリープの大きさや状態にもよりますが、ポリープの切除は、可能な限り、検査と同時に日帰りで内視鏡手術で行われます。

【ポリープの種類】
1) 腫瘍性
悪性の腫瘍 (早期がん)
良性の腫瘍 (腺腫)

2) 腫瘍性以外
炎症性ポリープ
過形成ポリープ

大腸ポリープの治療

大腸ポリープは、種類に応じて治療を行います。

1) 腫瘍性
悪性の腫瘍 (早期がん)
ポリープの段階であれば、がんであっても粘膜内にとどまっている場合は転移しません。この場合は切除することで治療が可能です。
粘膜の下層まで浸潤している(入り込んでいる)場合にはリンパ節転移の可能性があります。リンパ節を含めた周囲の腸管まで切除を行います。

良性の腫瘍 (腺腫)
以前は、腺腫はすべてがんになる前段階と考えられ、がんと同様に摘出するのが一般的でした。
現在は、がんになる危険性の高い5mm以上の大きさのポリープのみを、内視鏡手術で切除するのが主流です。
5mm未満は、基本的に経過観察です。


2) 腫瘍性以外
腫瘍性以外は、がん化する危険性はほとんどないため、必ずしも治療の必要はありません。

予防

バランスの良い食生活で便秘をしないように

大腸ポリープの発生には食生活の影響が少なくありません。
食物繊維を積極的に摂取し、便秘をしないバランスの良い食生活を心がけましょう。
運動不足や肥満、アルコール、喫煙なども、腸内環境を悪化させる要因になるため注意してください。

また、大腸ポリープの中にはがん化するものもあるため、特に40歳以上の方は定期的に検査を受けましょう。
毎年、健康診断を受けるとともに、便潜血検査で陽性となった場合は早めに二次検診を受けてください。

医療機関受診のポイント

便潜血検査で陽性の方は早めに二次検診を受けましょう

大腸ポリープには自覚症状がほとんどありません。
健康診断で便潜血検査が陽性だった場合は、大腸内視鏡検査を受けておきましょう。また、40歳以上の方や家族に大腸ポリープや大腸がんを患った人がいる方、便秘がちという方も、積極的に大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

診察室で医師に伝えること

医療機関を受診する際は、以下の内容を医師に伝えましょう。
痛みや便に血が混じっているなどの自覚症状の有無
排便状況 (便秘傾向にある、便秘と下痢を繰り返すなど)
家族に大腸ポリープや大腸がんを患った人がいるか

受診すべき診療科目

内科
消化器科

大腸ポリープは、内科、消化器科で相談できますが、大腸ポリープの検査には大腸内視鏡検査が欠かせません。したがって、大腸内視鏡検査を行っている医療機関を受診することが望ましいでしょう。
可能であれば、内視鏡検査で大腸ポリープが発見された場合の対処法を確認しておきましょう。発見時に切除してもらえるのか、他院へ紹介されるのかなど、医療機関によって対処法が異なる場合があります。

だいちょうぽりーぷ 大腸ポリープ

診療科目

内科 消化器科

からだの部位

腹部 食道・胃・腸

分類

消化器