症状
両側の耳が同時に少しずつ聞こえにくくなる
老人性難聴では、以下のような耳の症状が見られます。
● 耳が聞こえにくい
● 耳鳴り
老人性難聴の「聞こえにくさ」には以下の特徴があります。
● 突然聞こえが悪くなるのではなく、少しずつ聞こえにくくなる
● 高音域が聞こえにくくなり、しだいに普段の会話や低音域も聞こえにくくなる
● 片側の耳ではなく、両側の耳が同時に聞こえにくくなる
また、認知機能の低下により、音は聞こえるのに、何を話しているかわからないという状況を伴う場合があります。
原因
加齢により内耳の細胞が脱落することで起こる
外耳から入った音の刺激は、空気の振動として鼓膜に伝わると、中耳にある耳小骨で拡大され内耳へと伝わります。
振動は内耳で電気信号となり、脳に伝わることで、音として認識されます。
難聴は、この音の情報が伝わる経路のどこかに障害が起こることで発生します。障害が起こっている部位により以下2つに分類されます。
1) 伝音性難聴: 外耳から中耳にかけて障害がある
2) 感音性難聴: 内耳より先で障害がある
老人性難聴の大半は、感音性難聴です。
加齢により、中耳から伝わってきた空気の振動を電気信号に変える働きをする内耳の細胞が脱落することで起こります。
また、脳の機能低下や認知機能低下も影響している場合があります。
診断と治療
老人性難聴の診断
難聴の診断では、問診や種々の聴力検査を行い、難聴の種類と程度を調べます。
老人性難聴の疑いがある場合は、言葉の聞き取り能力を確認するため、語音聴力検査も行います。
場合によってはMRI検査などの画像検査を行うこともあります。
老人性難聴の治療
老人性難聴は、薬や手術により根本的に治すことはできません。
生活の質を改善するためには、聞こえを補う補聴器や人工内耳の使用を検討します。
● 補聴器
補聴器は、音を集めて増幅して内耳に伝える機能を機械が補うことで音が聞こえるようになります。
● 人工内耳
補聴器で効果がない場合は、人工内耳の使用を検討します。
人工内耳は、手術により耳の奥に埋め込みます。人工内耳が適応するかどうかは、事前に様々な検査を行います。
医療機関受診のポイント
老化だから仕方ないと軽く考えずに受診を
老人性難聴は、命に関わる病気ではないため、軽く見られてしまうことが多くあります。
しかし、難聴は人とコミュニケーションが取りにくくなるなど、生活に支障をきたします。また音が聞こえなくなることで、認知機能低下の原因にもなりうるため、医療機関を受診するようにしましょう。
診察室で医師に伝えること
診察の際は、以下を医師に伝えましょう。場合によってはご家族が付き添いましょう。
● いつから/どのくらい/どのような音が 聞こえにくいのか
● 耳以外の症状の有無
受診すべき診療科目
● 耳鼻咽喉科