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ごえんせいはいえん 誤嚥性肺炎

嚥下機能低下で口内の細菌が肺に炎症

診療科目

内科 呼吸器科

からだの部位

胸部

分類

呼吸器

症状

高齢者の肺炎は症状に気づきにくいことも

誤嚥性肺炎の主な症状は以下のとおりです。

発熱


呼吸が苦しい

誤嚥性肺炎は高齢者に多く、自覚症状を感じにくかったり、高齢者自身から症状の訴えがなかったりすることがあります。
高齢者の肺炎は命に関わりますので、以下のようにいつもと様子が違うと感じたら、早めに医療機関を受診してください。

なんとなく元気がない
常にのどがゴロゴロ鳴っている
食事に時間がかかる
食事中にむせることがある

原因

嚥下機能低下で口の中の細菌が肺へ

誤嚥性肺炎の原因は、嚥下機能の低下により、食べ物や飲み物など口の中のものが、食道ではなく気道に入ってしまうことで起こります。
口の中には、さまざまな細菌が存在しており、この細菌が食べ物や飲み物、唾液と一緒に気道に入ることで、気管支や肺で繁殖し、炎症を起こす原因になります。

通常、口の中のものは誤って気道に入ると、むせて咳が出ることで排出される仕組みになっています。
しかし、嚥下機能が低下していると、この仕組みもうまく機能しないため、肺炎になってしまうことがあります。

診断と治療

誤嚥性肺炎の診断

誤嚥性肺炎の診断では、主に以下の検査が行われます。

胸部レントゲン検査 / 胸部CT検査
血液検査
細菌検査(培養検査)

レントゲン検査で肺の状態を確認し、血液検査で炎症の程度を調べます。
細菌検査では、痰や血液中の細菌の種類を調べることで、抗菌薬が有効かどうかを判断します。

誤嚥性肺炎の治療

肺炎の治療では、原因となっている細菌に対する抗菌薬治療と、症状を緩和するための対症療法を併用して行います。

誤嚥性肺炎では嚥下機能の低下があるため、痰を自分で出すことが難しいことがあります。その場合は吸入を行います。
呼吸状態が悪い場合は、酸素投与が行われます。酸素投与で呼吸状態が改善しない場合には、人工呼吸器により呼吸状態が管理されることもあります。

予防

嚥下機能が低下している場合は食事に工夫を

誤嚥性肺炎の予防のポイントは以下のとおりです。

ゆっくりと焦らず食事をとる
食後2時間程度は横にならないようにする
口腔内を清潔に保つ

嚥下機能が低下している方は、通常の食事ではなく、食べ物を小さく刻んだり、とろみをつけたりと飲み込みやすくする工夫をすることで誤嚥を防ぐことができます。

医療機関受診のポイント

高齢者の様子がいつもと違ったら早めに受診を

普段の状態と比べて、なんとなく元気がない、のどが常にゴロゴロ鳴っている感じがする、一日中うつらうつらしている、食事に時間がかかる、食事中にむせることがある、唾液が飲み込めない、痰が汚いなどの症状があれば、誤嚥性肺炎の可能性があります。医療機関を受診しましょう。

診察室で医師に伝えること

診察の際には、以下を医師に伝えましょう。

いつ頃からどのような症状があるか
嚥下機能の状態
食事の摂取状況

受診すべき診療科目

内科
呼吸器科

ごえんせいはいえん 誤嚥性肺炎