症状
腫瘍が小さい初期段階では症状がないことが多い
肺腫瘍は、腫瘍が小さい初期の段階では症状がないことがほとんどです。
健康診断などで胸部レントゲン検査やCT検査で見つかることが多いです。
1) 良性の肺腫瘍の場合
症状がないことが多いですが、腫瘍の大きさなどにより以下の症状が見られます。
ただし、良性の肺腫瘍は大きくなるスピードは遅いという特徴があります。
● 咳
● 痰
● ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音(喘鳴) など
2) 悪性の肺腫瘍の場合
早期には症状がないことが多く、進行すると以下のような症状が見られます。
良性の肺腫瘍に比べ、悪性の肺腫瘍は大きくなるスピードは早いといわれています。
● 咳
● 血痰(痰に血が混じる)
● 体重減少
● 胸の痛み
● 疲労感 など
原因
肺がんの主な原因はタバコ
腫瘍は、遺伝子異常により細胞が異常に増殖することで発症します。
細胞は遺伝子の情報をもとに同じ細胞がつくられるようになっていますが、その際にミスが起こることで腫瘍が生じるといわれています。
● 悪性の原発性肺腫瘍=肺がんの原因
大きな原因はタバコです。喫煙習慣のある人は、ない人に比べて、4〜10倍も肺がんになりやすいといわれています。
ただし、肺がんはタバコを吸わない人でも発症します。受動喫煙や大気汚染、腫瘍ができやすい体質なども関係すると考えられています。
● 転移性肺腫瘍
ほかの臓器のがんがリンパや血液を介して転移することで発症します。そのため転移性肺腫瘍は悪性であることがほとんどです。
診断と治療
肺腫瘍の診断
肺腫瘍の診断で大切なことは、良性か悪性かを見きわめることです。
そのため、詳細な検査を行い、慎重な判断が重要です。
● 画像検査
胸部レントゲン検査やCT検査、MRI検査で肺がんを疑う影や胸水の有無、全身の状態(転移はないか)を調べます。
● 喀痰検査
痰の中にがん細胞がいないかを調べます。
● 血液検査
腫瘍マーカーを調べます。
このほかにも、より詳しい検査を行うことがあります。
胸腔穿刺や気管支鏡で、胸水や気管支の組織を採取し、がん細胞があるかどうかを調べる検査などがあります。
肺腫瘍の治療
肺腫瘍の治療方法は、どのような腫瘍かによって異なります。
● 良性の原発性肺腫瘍の場合
組織検査により良性であることがわかった場合には、経過観察でも問題ありません。
ただし症状がある場合や良性であると確定できない場合には手術により摘出することがあります。
● 悪性の原発性肺腫瘍=肺がんの場合
がんのタイプや進行度に合わせて、手術、放射線、抗がん剤治療、またはそれらの併用による治療が行われます。
●転移性肺腫瘍=転移性肺がんの場合
転移した元のがんに有効な抗がん剤治療を行うことが一般的です。
転移性肺がんの場合、手術できないことが多いといわれています。
予防
禁煙と定期的な健康診断を
悪性の原発性肺腫瘍=肺がんの大きな原因は、タバコです。
喫煙習慣のある人は、ない人に比べて、4〜10倍も肺がんになりやすいといわれています。一方、禁煙することで肺がんのリスクも低下することがわかっています。喫煙をしている方は、肺がん予防のために、禁煙することをおすすめします。
また、肺腫瘍は、腫瘍が小さい初期の段階では症状がないことがほとんどです。
健康診断や人間ドックを定期的に受け、胸部レントゲン検査、CT検査で肺の状態を確認するようにしましょう。
医療機関受診のポイント
健康診断で肺に影があるといわれたら早めに受診を
肺腫瘍は症状が出にくい病気なので、定期的に健康診断を受けることが大切です。その結果、要再検査となった場合は、早めに医療機関を受診してください。また、風邪をひいたわけでもないのに、咳や痰の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
診察の際は、以下を医師に伝えましょう。
● 咳や痰、呼吸困難などの自覚症状の有無とその程度
● タバコを吸うか、1日に何本ほど吸うか
● 家族にがんにかかった人がいるか
● 健康診断の結果(あれば)
受診すべき診療科目
● 内科
● 呼吸器科