メディカルウェブ事典

ちつかんじた 膣カンジタ

カンジダ菌による膣の感染症

診療科目

婦人科

からだの部位

陰部・肛門

分類

婦人科

症状

おりものが増え、白い酒粕状になるのが特徴

膣カンジダの主な症状は以下のとおりです。

酒粕状のおりもの
膣カンジダを発症するとおりものが増え、白い酒粕状になるのが特徴です。
酒かす状のおりものは、「カッテージチーズのよう」「ヨーグルトみたいなおりもの」などと表現されることもあります。おりものの臭いはほとんどないか、あっても強くはありません。

痒み
膣だけでなく、周辺にも強い痒みが現れます。また、膣にヒリヒリするような、ズキズキするような痛みを伴うこともあり、「痛痒い」という人も多いです。

性交時痛
膣カンジダになると膣の刺激感を覚える人も多く、性交渉によって痛みを感じます。

排尿時痛
排尿をするときに痛みが現れることも多いです。

原因

風邪や疲労で抵抗力が低下すると発症しやすい

膣カンジダは、カンジダ菌(真菌)が膣の中で異常増殖することによって発症します。
カンジダ菌は健康な人の皮膚や腸などの粘膜にも存在する常在菌で、普段は問題を起こすことはありません。しかし、以下のような場合に発症しやすくなります。

抗生物質を服用している
風邪や疲労などで抵抗力が低下している
月経前や妊娠中などホルモンの変化が大きい

また、カンジダ菌は温かく湿っていると増殖しやすいので、通気性の悪い下着やおりものシートなどで陰部が蒸れると感染しやすいといわれています。

【性交渉による感染】
膣カンジダは性感染症の1つで、性交渉(SEX)によって感染することもあります。
ただし、男性から女性に感染する可能性は低く、性交渉の経験がない人にも発症します。

診断と治療

膣カンジタの診断

膣カンジダは、膣の外部のかゆみなどの自覚症状を確認するほか、以下のような検査を行って診断します。

鏡検法
膣の分泌物を採取し、カンジダ菌の増殖の程度を顕微鏡で調べます。

培養法
寒天などでできた培地に膣分泌物を塗り、数日間培養して判定を行います。

内診
膣鏡という検査用の器具を膣に入れて確認すると、酒粕状の白いおりものが認められ、膣壁にただれや発赤がみられることが多いです。
また、他の病気と区別するために、膣内の診察のほかに外陰部や肛門周囲などに発赤や水泡があるかなどを確認します。

膣カンジタの治療

膣カンジダの治療は、治療期間中、毎日通院をして、膣の洗浄と膣錠という薬を膣内に挿入する処置を行うのが基本です。
通院は6日程度ですが、状態に応じて追加することもあります。通院が難しい場合には、週1回の挿入で治療可能な膣錠を用いることもありますが、効果はやや劣るといわれています。

膣内の洗浄
膣内を洗浄して清潔にします。自宅でも外陰部を清潔にすることは大切ですが、刺激の強い石鹸を使ったり、強くこすったりすると、むしろ炎症がひどくなることも多いので注意しましょう。

膣錠の挿入
カンジダ菌を抑える抗真菌薬の膣錠を用いることが一般的です。
膣錠とは、膣円蓋部(ちつえんがいぶ)と呼ばれる膣の奥の方に挿入するお薬です。

局所塗布剤
軟膏やクリームなどの塗布剤を併用することも多いです。塗布剤は外陰部に自分で塗ることになるので、使用方法をよく読んで適切に使いましょう。

膣カンジダは、治療開始後2〜3日程度で症状は治まりますが、自己判断で通院をやめてはいけません。医師の指示に従ってください。

予防

生活習慣を見直し再発を予防しましょう

膣カンジダは再発することがあります。
年に何度も再発を繰り返す場合は、日常生活の中で誘因となっているものがないかを確認し、できるだけ取り除くようにしましょう。特に、寝不足や過労、過度のストレスなどは抵抗力を下げるため、生活習慣を見直すようにしてください。

また、以下の点も注意しましょう。
下着は蒸れにくい素材のものを着用する
ナプキンをこまめに替える
身体を拭いたタオルは人と共有しない
排泄時は「前から後ろに拭く」ことを心がける

医療機関受診のポイント

症状を我慢せず早めに受診しましょう

受診をしにくいという方もいますが、膣カンジダの痒みはつらく、排尿や性交時に痛みを伴うこともあります。また、性行為で女性から男性に感染する可能性があるため、感染を拡げないためにも早期に治療をすることが大切です。

診察室で医師に伝えること

どんな症状があるか
いつから続いているか
抗生物質を使用したか
妊娠しているか
糖尿病などの病気があるか
化学療法や免疫抑制剤などの治療を受けているか
最近風邪をひいたか、睡眠不足や過労などはないか

受診すべき診療科目

婦人科

ちつかんじた 膣カンジタ