症状
尿の出が悪いなど排尿時のトラブル
前立腺肥大の主な症状は以下のとおりです。
前立腺は尿道を取り囲むように位置しているため、症状は排尿のトラブルが多いです。
● 尿の出が悪い(勢いよく出ない)
● 残尿感
● 頻尿
● 夜間頻尿(就寝中に尿意で何度も目が覚める)
● 尿意切迫感(急に強い尿意をもよおす)
前立腺が肥大しても必ずしも排尿トラブルが起きるというわけではありません。
同じように前立腺が肥大する病気として前立腺がんがありますが、前立腺肥大症とは別の病気です。前立腺肥大症が進行すると前立腺がんになるというわけではありません。
原因
前立腺肥大の明確な原因はわかっていません。加齢や男性ホルモンの影響と考えられています。
その他にもメタボリック・シンドロームとの関係も指摘されています。
診断と治療
前立腺肥大症の診断
前立腺肥大症の診断では、同じような症状が見られる前立腺がんと区別する必要があります。
専用のスコアシート(IPSS)を使用して症状を確認し、前立腺がんと区別するために以下のような検査を行います。
● 直腸診
肛門から指を入れて、腸の壁越しに前立腺に触れ、大きさなどを推定します。
● 尿検査
膀胱の病気などがないかを確認します。
● 血液検査
前立腺がんがないか腫瘍マーカーを調べます。
● 尿流測定
専用の検査機に排尿して、排尿量・排尿時間・尿の勢いを数値化して測定します。
● 残尿測定
排尿後に超音波検査をすることで、膀胱に残っている尿量を測定します。
【国際前立腺症状スコア(IPSS)】
最近(過去1ヶ月間)の症状について質問する、前立腺肥大専用の問診票です。以下の質問でスコアをつけ、重症度を確認します。
● 排尿後に尿がまだ残っていると感じることはあったか
● 排尿後2時間以内に、もう一度行かねばならないことがあったか
● 排尿途中に尿が途切れることはあったか
● 排尿を我慢することがつらいことはあったか
● 尿の勢いが弱いことがあったか
● 排尿開始時に力む必要があったか
● 床に就いてから朝起きるまでに普通何回排尿に起きたか
前立腺肥大症の治療
前立腺肥大症の治療は、以下の方法があります。
必ずしも全員が治療を必要とするわけではなく、症状の程度などによって治療を進めることになります。
● 薬物療法
前立腺肥大による排尿トラブルを改善するための薬を使用します。
尿道を広げて尿の通りを良くしたり、男性ホルモンの働きを抑えて前立腺を小さくする薬などを使うことが多いです。
● 手術療法
薬物療法でも症状が改善しない場合や合併症が起きた場合には手術を行うことがあります。
内視鏡手術で行われることがほとんどです。
医療機関受診のポイント
50歳以上の排尿時のトラブルは一度受診を
尿の出が悪い、残尿感がある、力まないと尿が出ないなど、排尿時のトラブルがある方は、前立腺肥大症だけでなく、前立腺がんの可能性もあるため、早めに検査を受けることが大切です。
診察室で医師に伝えること
診察の際は、以下を医師に伝えましょう。
● いつ頃からどのような症状があるか
● 過去1ヶ月くらいの排尿の様子
● 飲んでいる薬の種類(薬の種類によっては、副作用で前立腺肥大症のような症状があらわれるため)
受診すべき診療科目
● 泌尿器科