症状
アレルギー性鼻炎の症状は風邪とよく似ている
アレルギー性鼻炎の主な症状は以下のとおりです。
● 鼻水
● 鼻づまり
● 連続するくしゃみ
これらの鼻の症状が続くと、口呼吸になることで以下のような症状が出ることもあります。
● のどの痛み
● 頭痛
● 集中力の低下
● イライラしやすくなる
● 不眠
● 微熱 など
【アレルギー性鼻炎と風邪の見分け方】
アレルギー性鼻炎の症状は風邪とよく似ています。初期は見分けがつかないこともありますが、治療法が異なるため、症状が長引く場合は医療機関を受診するようにしましょう。
アレルギー性鼻炎と風邪を見分ける1つの方法としては、鼻水の状態を確認するというのがあります。一般的に、アレルギー性鼻炎では、サラサラと水っぽい鼻水が出ますが、風邪では黄色の粘性のある鼻水が出ます。咳や痰などの呼吸器の症状や発熱の症状が強い場合は、風邪の可能性が高いものの、アレルギー性鼻炎でも同様の症状が見られることがあるため、自己判断でお薬を選ぶのは避けましょう。
原因
アレルギー症状はアレルゲンと身体が戦うことで出現
アレルギー性鼻炎の原因は体の免疫反応によるものです。
花粉やハウスダストなどのアレルゲンが鼻から吸いこまれると、身体がこれを異物と判断してしまうことがあります。すると体内でアレルギー反応が起こり、アレルゲンを体外へ排出させようとして鼻水やくしゃみが出るようになります。またアレルギー反応によって、血管を刺激する物質が増加するので、鼻の血管が充血して鼻づまりを起こします。
しかし、全ての人がアレルゲンによってアレルギー症状が起きるというわけではありません。アレルギー症状を起こすかどうかは、遺伝による体質が関係しています。さらに大気汚染や気密性の高い住宅環境、食生活の変化などの環境も要因になるといわれています。
診断と治療
アレルギー性鼻炎の診断
アレルギー性鼻炎の診断では、問診で鼻炎の症状がアレルギーによるものか判断された後、鼻鏡検査で鼻の状態を確認します。また次の検査でアレルゲンの特定を行います。
●皮膚テスト
皮膚テストはアレルゲン物質を注射したり、軽く傷つけた皮膚につけて、皮膚のアレルギー反応をみます。
●血清特異的IgE抗体検査
採血をして、アレルギー反応が起こるときに増加する「IgE抗体」を調べる検査です。
●誘発テスト
アレルゲンを含ませたろ紙を鼻の粘膜につけ、アレルギー反応が起こるか観察します。
そのほかにも重症のアレルギー性鼻炎では、副鼻腔炎を起こしていないか確認するために、レントゲン(X線)検査が行われる場合もあります。
アレルギー性鼻炎の治療
アレルギー性鼻炎の治療には、症状を抑えてコントロールする対症療法が主流ですが、対症療法で鼻の症状が改善しない場合には、手術療法が行われることもあります。また、最近ではアレルギーの根治を目指す根治療法も行われています。
●対症療法
対症療法では、点鼻薬や抗アレルギー薬でアレルギー性鼻炎の症状を抑えます。症状が強い場合には、ステロイド薬が使用される場合もあります。
●手術療法
手術療法では、鼻の粘膜を切ったり、レーザーや電気メスで焼く方法があります。手術では出血や痛みが少なく、日帰りで行えるものもあります。
●根治療法
根治療法では、アレルゲン免疫療法と呼ばれる治療が行われます。アレルゲン免疫療法は低濃度のアレルゲンの注射を少量から始め、だんだん濃度と量を増やして、体の免疫機能を高めていく治療法です。
予防
予防はアレルゲン物質を積極的に取り除く!
アレルギー性鼻炎になる人は遺伝による体質がかかわっています。しかし、アレルゲンとなる原因物質を取り除くことで、症状をコントロールしたり、予防することも可能です。季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎のそれぞれのアレルゲンの対処方法には、次のものがあります。
●花粉への対処
・花粉情報を確認し、花粉が多い日の外出や部屋の換気を控えるようにする。
・外出が必要な場合はマスクやメガネを着用する。
・家に帰ったら、服に付いている花粉を振り払い、うがいと洗顔を行う。
●ハウスダストへの対処
・ハウスダストは舞いやすいので、毎日部屋の掃除を行う。
・定期的に布団を干し、ダニ対策を行う。
医療機関受診のポイント
つらい症状が続き、日常生活に支障があれば受診を
アレルギー性鼻炎の症状は命にかかわるものではありませんが、症状が続くことにより日常生活に支障が出ることがあります。症状がつらくなった場合には、医師の診察を受けるようにしましょう。
診察室で医師に伝えること
アレルギー性鼻炎で医師の診察を受けるときは、次のことを伝えるようにしましょう。
● アレルギー性鼻炎で出ている症状
● アレルギー性鼻炎の症状が出る時期や状況
● その他のアレルギー疾患があるか
● 家族にアレルギー性鼻炎やアレルギー疾患を持つ人がいるか
受診すべき診療科目
● 内科
● 耳鼻咽喉科
● アレルギー科
アレルギー性鼻炎の風邪との見分けが難しい場合や軽い症状の場合は、内科でも対症療法を受けることができます。また、アレルギー性鼻炎の根治治療を行いたい場合は、耳鼻咽喉科やアレルギー科を受診した方が、より専門的な治療を受けることができるでしょう。