症状
発熱と耳の痛み、耳垂れ、耳のつまり感
急性中耳炎の主な症状は以下のとおりです。
● 発熱
● 耳の痛み
● 耳垂れ(耳から膿などが出ること)
● 耳のつまり感
また、鼻炎や副鼻腔炎を併発していることが多く、鼻水、鼻づまりなどの症状が見られる場合もあります。
急性中耳炎は子どもに多い病気です。
特に、抵抗力の弱い生後半年頃から、1〜2歳頃をピークに5歳頃まではよく見られます。
まだ自分の言葉で症状を説明できない乳幼児の場合、以下のような様子に注意しましょう。
● 急に泣き出す
● むずがる
● 耳をよくさわる
急性中耳炎を放置すると、滲出性中耳炎に進行する場合があります。
滲出性中耳炎は治りにくく、難聴の原因にもなりますので、中耳炎の症状に気づいたら早めの対処が大切です。
原因
鼻の奥から中耳につながる耳管を通ってウイルスや細菌が侵入
中耳炎は、鼓膜の奥にある「中耳」という部位に炎症が起こることで発症します。
中耳は、耳管というトンネルで鼻の奥(咽頭)とつながっています。
風邪などで鼻やのどに炎症が起こった場合、その原因となるウイルスや細菌が耳管を通って中耳に侵入し、中耳にも炎症を引き起こします。
急性中耳炎は、風邪や鼻炎などで大量の鼻水や鼻をすすったりすることで、菌が中耳に侵入します。
1〜2歳頃の子どもがよく発症するのは、耳の内部の構造が未発達で菌が侵入しやすいこと、また、ウイルスや細菌に対する免疫力や抵抗力が十分でないためと考えられています。
診断と治療
急性中耳炎の診断
中耳炎の診断では、耳鏡や内視鏡などを使って耳の中を直接観察します。
炎症が起こっている場合には、発赤や腫れ(腫脹)、耳垂れなどがあるため、これらの耳の状態を確認します。
必要に応じて以下の検査を行います。
● 細菌検査: 鼻の奥の粘液や耳垂れなどから菌の種類を調べます。
● 聴力検査: 聞こえに影響がないかを調べます。
このほかにも、血液検査やレントゲン検査などを行う場合があります。
急性中耳炎の治療
急性中耳炎の治療では、抗生物質を使用することが一般的です。(大人の場合は、抗生物質を使用せず様子を見ることがあります。)
発熱や耳の痛みなどの症状に応じて、解熱鎮痛剤を使用することもあります。
また、鼻水がたまっていると、中耳炎が悪化したり、長引いたりするため、吸引などで鼻水をためない処置を行います。
抗生物質を5〜7日程度使用しても症状が改善しない、耳が聞こえづらい状態が続く場合は、鼓膜切開で膿を吸引したり、鼓膜に通気性のあるチューブを留置して膿がたまらないようにします。
予防
鼻をすすったり、強くかんだりしない!
急性中耳炎の予防は、中耳にウイルスや細菌が侵入しないように心がけることが大切です。
鼻をすすったり、強く鼻をかんだりすると、鼻の奥にいる菌が耳管をとおって中耳に侵入しやすくなります。
風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻水が増えたときは、早めに症状をコントロールしましょう。また、普段から鼻をする癖がある方は注意しましょう。
医療機関受診のポイント
耳に痛みや違和感を感じたら早めに受診を
急性中耳炎を放置すると、滲出性中耳炎に進行する場合があります。滲出性中耳炎は治りにくく、難聴の原因にもなりますので、中耳炎の症状に気づいたら早めの対処が大切です。単なる風邪と侮らず、耳に違和感があれば医療機関を受診しましょう。
診察室で医師に伝えること
医療機関受診時は、以下のことを担当医師に伝えましょう。
● 耳の痛みはいつからか
● 風邪やアレルギー性鼻炎はないか
● 耳の聞こえ具合に変化はないか
受診すべき診療科目
● 耳鼻咽喉科
● 小児科
子どもが風邪などで中耳炎かどうかわからないという場合は、まずは小児科を受診しても大丈夫です。小児科医から耳鼻咽喉科を紹介します。