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ぼうこうえん 膀胱炎

頻尿や排尿痛、残尿感などが膀胱炎の特徴

症状

頻尿や排尿時の痛み、排尿後の残尿感が膀胱炎の特徴的な症状

膀胱炎の主な症状は以下の通りです。

頻尿(トイレへ行ってもすぐにまた行きたくなること)
排尿時に痛みを伴う排尿痛
白く濁った尿が出る尿混濁
排尿してもまだ出そうな気がする残尿感
下腹部の不快感           など

頻尿は1日に20回から30回トイレへ行くという人も珍しくありません。 残尿感はあるが、実際トイレへ行ってもチョロチョロと少量しか出ないという状況が続くことが多くあります。 また、出血性膀胱炎の場合は膀胱内への出血が認められるため、肉眼的にオレンジや赤く血が混じった血尿がみられることがあります。
これらの症状に加え、発熱がある場合は、細菌が膀胱からさらに腎臓まで達していることが考えられ、その場合は、腎盂腎炎と診断されます。

原因

細菌性膀胱炎が多く、主に大腸菌が原因に

女性の膀胱の部位

膀胱炎の原因は以下のとおりです。細菌の感染による膀胱炎が多いといわれています。

細菌性膀胱炎
便中の大腸菌による尿路感染が多くを占めます。
排便後、後ろから前へ拭いてしまうことで尿道から感染しやすくなります。また、水分摂取量が少なかったり、トイレを長時間我慢するような生活を送っていると、膀胱内の細菌が排出されず炎症を起こしやすくなります。

出血性膀胱炎
薬剤やがん、ウイルス感染や放射線治療が原因で、膀胱内に出血を伴って発症する膀胱炎です。
ウイルス感染の場合、アデノウイルスに感染した子ども、高齢者に見られることがあります。
また、骨盤内に放射線治療を受けたことがある人は、副作用として膀胱内に出血がみられることがあり、がんに対して使用した抗がん剤の副作用として現れることもあります。

間質性膀胱炎
近年少しずつ耳にするようになってきたもので、原因ははっきりとしていませんが、膀胱が慢性的に炎症を起こしているものです。心因性のものなどとされていましたが、近年診断がつくようになりました。長時間頻尿が続き、膀胱充満時(尿が溜まった状態)の下腹部痛が特徴です。

診断と治療

膀胱炎の診断

検査は主に尿検査が行われます。 膿尿(尿中の白血球の増殖がないか)、細菌尿(尿中の細菌の有無)、血尿の有無を調べます。
似た症状を引き起こす腎盂腎炎の可能性がありますが、発熱や全身のだるさ・炎症所見がみられなければ腎盂腎炎は否定できます。

膀胱炎の治療

膀胱炎の原因により治療方法が異なります。

細菌性膀胱炎
薬物療法として、抗生物質を使用します。
ニューキノロン系という抗菌剤を主に使用しますが、年齢や投与日数・細菌の種類により抗菌剤を使い分けて処方されます。長期投与は行わず、おおよそ3日間ほど服用し尿中から薬剤が消える約1週間後に治療効果を判定します。
また、抗生剤投与は行わず、自然治癒を図ることもあります。積極的に水分摂取を行い、尿量をアップさせ膀胱内の細菌を尿とともに排出させることで治癒できることがあります。

出血性膀胱炎
膀胱内に溜まった血液を洗浄し洗い流す膀胱持続灌流行い、血塊による閉塞が起こらないようにします。

間質性膀胱炎
過活動膀胱を抑えるために抗コリン薬が第一選択されます。現在多くの薬剤が開発されている状況です。

予防

細菌性膀胱炎は排泄時の注意で予防できます

細菌性膀胱炎は、日常生活の小さな心がけから予防を図ることができます。

排便後は前から後ろへ拭く
女性の場合、排便後に後ろから前へ拭いてしまうことで大腸菌が尿道に付着しやすくなります。昔からの習慣を変えることは容易ではありませんが、必ず前から後ろへ拭くようにしましょう。

外陰部の清潔を保つ
生理時のナプキンやおりものシート・下着をこまめに交換したり、セックス前後はシャワーを浴びるなど、常に外陰部の清潔を保つようにしましょう。 日頃から外陰部を清潔に保つことで、細菌の増殖を抑えることができます。

便秘を避ける
便秘になると多くの大腸菌が体内に留まり、排便時に通常よりも多くの大腸菌が排出されることになります。その分感染のリスクも高くなるので、日頃から快便を図りましょう。

尿意を我慢しない
忙しい日常生活の中、ついトイレへ行くの忘れていたり後回しにしがちです。しかし、トイレを我慢してしまうことで膀胱内に尿と一緒に細菌も長時間停滞させてしまうことになります。 細菌の増殖を防ぐためにも、こまめにトイレに行きましょう。

水分を十分にとる
忙しくて水分摂取が疎かになったり、トイレに行く時間を割くため水分摂取を我慢することが多く見られます。 上述したように、膀胱内の細菌を体外へ排出させるため、水分摂取はしっかり行いトイレへ行くようにしましょう。

免疫力アップを図る
膀胱内の血流を良好に保つため、下腹部を冷やさないようにしましょう。抵抗力を高めることにつながります。また、ストレスや疲労を溜めないことで免疫力アップにもつながります。

医療機関受診のポイント

症状が悪化する前に恥ずかしがらずに受診を

排尿の際に、違和感を覚えた場合は、医療機関を受診しましょう。初期であれば水分を多めに摂取し排尿量を増やすことで自然治癒することもありますが、症状の改善が認められなければ早めに受診しましょう。

診察室で医師に伝えること

医療機関を受診する際は、医師に以下を伝えるようにしましょう。

膀胱炎は繰り返す患者が多いため、以前に膀胱炎歴がある人は伝えておくと良いでしょう。
がんの既往や抗がん剤の使用歴、服用中の薬剤があれば伝えましょう。

受診すべき診療科目

内科
泌尿器科
婦人科

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