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びーぴーぴーぶい(りょうせいほっさせいずいめまいしょう) BPPV(良性発作性頭位めまい症)

頭を動かすとぐるぐる回るめまいが起こる

からだの部位

耳・鼻・口

分類

症状

頭を動かしたときに周囲がぐるぐる回る回転性めまいが起こる

BPPVの症状は、自分自身や周囲がぐるぐる回る「回転性めまい」です。このめまいが突然起こるのが特徴です。
BPPVのめまいでは、耳鳴りや難聴は伴いません。めまいの症状が強い場合に、吐き気は伴うことがあります。

耳の奥にある小さな石(耳石)がズレることで、めまいが起こるため、頭を動かすような日常的動作がきっかけでめまいが起こります。
朝起きようと枕から頭を上げたとき
寝返りをしたとき
身体を起こしたとき
振り向いたとき
上を見上げたとき

めまいは、数十秒程度で自然になくなりますが、めまいが起こった動作を繰り返していると、次第に症状が軽くなります。
また、めまいの症状が出現しているときは、目が左右に揺れる「眼振」が見られますが、症状の軽減とともに眼振も軽減されます。
BPPVは突然の発作性のめまいで、この発作は通常数週間程度で自然になくなりますが、数ヶ月持続する場合もあります。

原因

耳石が本来あるべき位置からズレることで発症

BPPVの原因は、耳の奥にある小さな石(耳石)が本来あるべき位置からズレてしまうことです。

耳の奥=内耳には、身体の平衡感覚を司る前庭器官があります。前庭器官は、三半規管と耳石器から構成されています。三半規管は、前半規管、後半規管、水平半規管からなっており、身体のバランス感覚をサポートする働きがあります。耳石器には、小さな石=耳石があり、耳石の傾きで身体の位置変化を感じ取っています。

BPPVでは、この耳石が何らかの原因ではがれ、後半規管に入ってしまうことで、後半規管の働きを過剰に刺激し、脳や目からの情報との差が生じてしまい、回転性めまいが発症すると考えられています。

耳石がはがれやすくなる要因には、以下があります。
加齢
耳の感染症
耳の外傷
耳の手術
頭部の外傷
内耳の血行低下 など

診断と治療

BPPV(良性発作性頭位めまい症)の診断

BPPVの診断は、症状の発生時の状況と、症状の内容、状態により判断されます。

ディックス・ホールパイク法
BPPVの検査で、実際にめまいの症状を再現し、その時の症状の内容や状態を確認する方法です。後半規管を刺激して、回転性のめまいや眼振を誘発する検査です。
1) 座った状態で、症状が発症する方向(左右)に頭を45度傾ける
2) 頭を45度傾けたまま、身体を後ろに倒す
3) そのまま仰向けになり、頭だけを20度程度ベッドや診察台から倒れるようにする

この動作を行うことで、BPPVであれば、5~10秒程度で、回転性のめまいと眼振がみられます。症状が数十秒でなくなりますが、症状がなくなった後に再度同じ動作をすることで、再び回転性のめまいと眼振がみられます。繰り返すうちに、その症状は軽くなっていきます。脳の疾患の場合は、症状が改善しないまま持続し、同じ動作を繰り返しても症状が軽減されずに発症します。

さらに、脳の病変がないことを確認するために、CTやMRIによる検査が行われる場合もあります。

BPPV(良性発作性頭位めまい症)の治療

BPPVは、後半規管にある耳石を本来の場所に戻すことで改善されます。そのために行われるのがエプリー法です。
エプリー法は、頭の位置を動かすことで後半規管から耳石を戻す方法で、難しい治療ではありません。浮遊耳石置換法とも呼ばれており、BPPVの患者の約90%は1回の処置でBPPVが改善するといわれてます。

エプリー法(浮遊耳石置換法)
体と頭の位置を順々に変えていき、後半規管の耳石を重力によって移動させます。それぞれの姿勢を30秒程度維持しながら、6つの動作を行います。
1) 座った状態で、右方向に45度頭を傾ける(BPPVが発症する方向)
2) そのまま頭が20度程度、ベッドや診察台から倒れるようにする
3) 頭を左方向に同じ角度(左右45度、後ろ20度)まで動かす
4) そのまま耳と床が平行になるまで、体と一緒に回転させる
5) さらに顔が真下を向くまで体を回転させ、できる限り頭を左側に向けたまま上体を起こす
6) 上体が完全に起き上がったら頭を前方に向ける

これらの動作を行うことにより、BPPVの多くは改善されるといわれていますが、ごく稀に、耳石の状態や大きさ、器官の構造などにより、手術による治療が必要となる場合があります。

医療機関受診のポイント

めまいの原因を明確にすることが大切

めまいは、耳を原因とするもの、脳を原因とするものなど、さまざまな原因があります。時として命に関わるめまいもあり、めまいの原因を明確にしておくことは大切です。めまい症状がある場合には、医療機関を受診することをおすすめします。

診察室で医師に伝えること

医療機関受診時は、下記の内容を担当医師に伝えるようにしましょう。
どのようなめまいか(自分自身や周囲がぐるぐる回る、グラグラ揺れる、身体が宙に浮いたように感じる、立ちくらみ)
めまいの持続時間
耳や脳の病気、手術、外傷などの既往歴
耳鳴り、難聴、吐き気の有無

受診すべき診療科目

耳鼻咽喉科
脳神経内科
脳神経外科

頭部や脳の病気、手術歴がある場合は脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。

びーぴーぴーぶい(りょうせいほっさせいずいめまいしょう) BPPV(良性発作性頭位めまい症)

からだの部位

耳・鼻・口

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